
後から再設計しないための要件定義と設計書作成のポイント
【この記事のポイント】
- ネットワーク導入の失敗を防ぐ事前準備は「現状分析」「要件定義」「設計書作成」「業者選定」「テスト環境構築」の5つ。事前準備なしで導入すると後から大規模な再設計が必要になる
- よくある導入失敗は「現状分析せず機器だけ更新」「将来の拡張を考慮せず小さすぎるサブネット」「IPアドレス設計書なし」「ループ防止機能未設定」「セキュリティ設定漏れ」の5つ
- コムネットワークでは現地調査で現状分析を実施し、将来の拡張も考慮した設計書を作成。導入後も効果測定し必要に応じて調整
今日のおさらい:要点3つ
- 事前準備は「現状分析(通信速度・端末数・トラフィック)」「要件定義(利用目的・将来計画)」「設計書作成(IPアドレス・VLAN・論理構成図)」「業者選定(実績・SLA・24時間サポート)」「テスト環境構築」の5つ。事前準備なしで導入すると初期費用の1.5〜2倍のコストがかかる
- よくある失敗は「現状分析せず機器だけ更新で改善効果なし」「小さすぎるサブネット割当」「IPアドレス設計書なしで競合」「ループ防止機能未設定で全体停止」「セキュリティ設定漏れで不正アクセス」の5つ
- IBM推奨の最適化手法は帯域幅最適化・負荷分散・QoS設定・ネットワークの可視化の4つ。コムネットワークでは将来の拡張(従業員2倍・拠点増加)も考慮した設計書を作成
この記事の結論
ネットワーク導入の失敗を防ぐ事前準備は、「現状分析」「要件定義」「設計書作成」「業者選定」「テスト環境構築」の5つです。事前準備なしで導入すると、後から大規模な再設計が必要になり、初期費用の1.5〜2倍のコストがかかります。
よくある導入失敗は「現状分析せず機器だけ更新し改善効果なし」「将来の拡張を考慮せず小さすぎるサブネット割当」「IPアドレス設計書なしでDHCPと固定IPが競合」「ループ防止機能未設定でスイッチ追加時に全体停止」「セキュリティ設定漏れで不正アクセス被害」の5つです。IBMのネットワーク最適化手法では、帯域幅の最適化・負荷分散・QoS設定・ネットワークの可視化が推奨されています。
一言で言うと、「現状分析でボトルネックを特定し、将来の拡張も考慮した設計書を作成し、テスト環境で動作確認すれば、導入後の大規模な再設計を回避できる」ということです。
ネットワーク導入で必要な5つの事前準備
準備1:現状分析(通信速度測定・接続端末数把握)
ネットワーク導入の第一歩は、現状を正確に把握することです。通信速度の測定、接続端末数の把握、ピーク時のトラフィック分析、ボトルネックの特定が必要です。
現状分析で確認する項目は以下の通りです。
- 通信速度測定:各エリア・各端末で実測(契約速度1Gbpsでも実測値が100Mbps以下なら問題)
- 接続端末数把握:PC・スマホ・タブレット・プリンター・IoT機器の総数
- ピーク時のトラフィック分析:業務開始時(9時)・昼休み明け(13時)・終業前(17時)の負荷状況
- ボトルネック特定:ルーター・スイッチ・回線のどこが処理能力の限界に達しているか
正直なところ、現状分析をせずに機器を更新しても、ボトルネックが別の場所(回線側)にあれば改善効果は限定的です。例えば、ルーターを最新機種に更新しても、回線が100Mbpsのままだと速度は向上しません。
準備2:要件定義(利用目的明確化・将来の拡張計画)
業務でどのようなアプリケーションを使用するか、将来の従業員増加計画はあるか、拠点は増えるかなど、要件を明確にします。
要件定義で確認する項目は以下の通りです。
- 利用目的明確化:メール・Web閲覧のみか、Web会議・クラウド編集・VoIPを多用するか
- Web会議頻度:1日あたり何回Web会議を実施するか(1回・5回・10回以上)
- クラウド利用状況:OneDrive・Google Drive・Salesforceなどクラウドサービスの利用頻度
- 将来の従業員増加計画:現在50名→3年後100名など従業員が2倍になる計画があるか
- 拠点増加計画:現在1拠点→3年後3拠点など拠点が増える計画があるか
実は、将来の拡張を考慮せずに設計すると、従業員が50名→100名に増加した際に、IPアドレスが不足し、全面再設計が必要になります。初期設計で余裕を持たせる(従業員30名なら/24=254ホストを割り当て)ことが重要です。
準備3:設計書作成(IPアドレス設計・VLAN設計・論理構成図)
IPアドレス設計書・VLAN設計書・論理構成図を作成します。設計書がないと、DHCPと固定IPが競合したり、ループが発生したりします。
設計書作成で含める内容は以下の通りです。
- IPアドレス設計:DHCP範囲(192.168.1.100〜200)と固定IP範囲(192.168.1.1〜99)を明確に分離
- VLAN設計:TrunkポートとAccessポートを明確に区別・VLAN10=サーバー、VLAN20=端末、VLAN30=VoIP
- 論理構成図:物理接続・VLAN設定・ルーティング・パケットの流れを図面化
- ループ防止機能設定:STP・Storm Control・Loop Detectionを全スイッチで有効化
- セキュリティ設定:FWポート設定・暗号化方式(WPA3)・不要なポート閉鎖
よくあるのが、「IPアドレス設計書なしで構築し、DHCPと固定IPが競合してプリンターが突然繋がらなくなる」というケース。事前に設計書を作成し、関係者で共有することが重要です。
準備4:業者選定(実績・技術力・SLA確認)
ネットワーク構築業者を選定します。実績5年以上・技術力・SLA(サービスレベル保証)・24時間サポート有無の5点で選定します。
業者選定で確認する項目は以下の通りです。
- 実績5年以上:同業種・同規模の導入実績があるか
- 技術力:最新技術(Wi-Fi6・IPv6・SD-WAN)に対応しているか
- SLA(サービスレベル保証):障害時の復旧時間(4時間以内・24時間以内)が明記されているか
- 24時間サポート有無:夜間・休日の障害対応が可能か
- 料金体系:初期費用・月額費用・追加工事費用が明確か
ケースによりますが、複数社から見積もりを取得し、実績・技術力・料金体系を比較することが重要です。最安値だけで選ぶと、技術力が低く期待した品質が得られないリスクがあります。
準備5:テスト環境構築(本番投入前の動作確認)
本番投入前にテスト環境を構築し、動作確認を行います。テスト環境がないと、本番投入時に予期せぬトラブルが発生し、業務が停止します。
テスト環境構築で確認する項目は以下の通りです。
- 動作確認:ping・traceroute・通信速度測定で動作を確認
- 負荷テスト:ピーク時の負荷を再現し、処理能力の限界を確認
- 障害テスト:ケーブルを抜く・機器を停止するなど障害を再現し、復旧手順を確認
- ロールバック手順準備:トラブル発生時に元の状態に戻す手順を準備
よくあるネットワーク導入失敗5つ
失敗1:現状分析せず機器だけ更新し改善効果なし
現状分析をせずに、ルーターだけを最新機種に更新したが、ボトルネックが回線側にあり、速度が改善しなかった失敗です。
対策: 現状分析で通信速度測定・トラフィック分析・ボトルネック特定を実施し、どこに問題があるか正確に把握します。回線がボトルネックなら回線を見直し(IPv6 IPoE方式への切り替え)、機器がボトルネックなら機器を更新します。
失敗2:将来の拡張を考慮せず小さすぎるサブネット割当
従業員30名で/26(62ホスト)を割り当てたが、従業員50名に増加した際にIPアドレスが不足し、全面再設計が必要になった失敗です。
対策: 将来の従業員増加計画を考慮し、余裕を持ったサブネット(/24=254ホスト)を割り当てます。拠点増加計画がある場合は、RFC1918アドレスの重複を避けるよう設計します。
失敗3:IPアドレス設計書なしでDHCPと固定IPが競合
IPアドレス設計書を作成せずに構築し、DHCP範囲と固定IPが重複してプリンターが突然繋がらなくなった失敗です。
対策: IPアドレス設計書を作成し、DHCP範囲(192.168.1.100〜200)と固定IP範囲(192.168.1.1〜99)を明確に分離します。プリンター・サーバー・ネットワーク機器は固定IP、PCは動的IPと明確に区別します。
失敗4:ループ防止機能未設定でスイッチ追加時に全体停止
ループ防止機能(STP・Storm Control・Loop Detection)が未設定で、スイッチ1台を追加しただけでブロードキャストストームが発生し、ネットワーク全体が停止した失敗です。
対策: STP・Storm Control・Loop Detectionを全スイッチで有効化します。導入時期の異なる機器が混在していても、全機器で設定を統一します。
失敗5:セキュリティ設定漏れで不正アクセス被害
FWのポート設定を全開放したまま本番投入し、不正アクセスを受けて情報漏洩が発生した失敗です。古い暗号化方式(WEP)を使用していたことも原因です。
対策: FWのポート設定で、業務に必要なポート以外はすべて閉鎖します。暗号化方式はWPA3を使用し、WEP・WPAは使用しません。定期的にセキュリティアップデートを実施します。
よくある質問
Q1. ネットワーク導入の事前準備は?
A1. 「現状分析(通信速度測定・端末数把握)」「要件定義(利用目的・将来の拡張計画)」「設計書作成(IPアドレス・VLAN・論理構成図)」「業者選定(実績・技術力・SLA)」「テスト環境構築(動作確認)」の5つです。
Q2. よくある導入失敗は?
A2. 「現状分析せず機器だけ更新」「将来の拡張を考慮せず小さすぎるサブネット」「IPアドレス設計書なし」「ループ防止機能未設定」「セキュリティ設定漏れ」の5つです。
Q3. 現状分析で確認する項目は?
A3. 通信速度測定・接続端末数把握・ピーク時のトラフィック分析・ボトルネック特定の4項目です。
Q4. IPアドレス設計の注意点は?
A4. DHCP範囲(192.168.1.100〜200)と固定IP範囲(192.168.1.1〜99)を明確に分離し、将来の拡張も考慮して余裕を持たせます。
Q5. ループ防止機能とは?
A5. STP・Storm Control・Loop Detectionの3つで、ループを検知しブロードキャストストームを防止します。
Q6. 業者選定のポイントは?
A6. 実績5年以上・技術力(最新技術対応)・SLA(復旧時間明記)・24時間サポート有無・料金体系の5点です。
Q7. テスト環境で確認する項目は?
A7. 動作確認(ping・traceroute)・負荷テスト・障害テスト・ロールバック手順準備の4項目です。
Q8. IBMのネットワーク最適化手法は?
A8. 帯域幅の最適化・負荷分散・QoS設定・ネットワークの可視化の4つです。
Q9. 将来の拡張を考慮した設計とは?
A9. 従業員が2倍になることを想定し、余裕を持ったサブネット(/24=254ホスト)を割り当てます。
Q10. コムネットワークのサポート範囲は?
A10. 現地調査で現状分析を実施し、将来の拡張も考慮した設計書を作成。導入後も効果測定し必要に応じて調整します。
まとめ
ネットワーク導入の失敗を防ぐには、「現状分析」「要件定義」「設計書作成」「業者選定」「テスト環境構築」の5つの事前準備が欠かせません。事前準備を省くと、導入後に大規模な再設計が必要になり、初期費用の1.5〜2倍のコストがかかってしまいます。
よくある失敗は「現状分析せず機器だけ更新」「小さすぎるサブネット」「IPアドレス設計書なし」「ループ防止機能未設定」「セキュリティ設定漏れ」の5つ。50名オフィスが100名に増えた際にIPアドレス不足で全面再設計、というのは特に多い事例です。IBM推奨の最適化手法(帯域幅最適化・負荷分散・QoS設定・ネットワークの可視化)も併せて検討すると、より長く使える設計になります。
一言で言うと、「現状分析でボトルネックを特定し、将来の拡張も考慮した設計書を作成し、テスト環境で動作確認すれば、導入後の大規模な再設計を回避できる」ということ。迷っているならコムネットワークに相談してみてください。
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