
介護施設で見守りセンサーやタブレットのWi-Fiが途切れる。居室まで電波を届けるには何を見直せばいいのか
介護施設のWi-Fiが途切れる原因は、ほとんどが「アクセスポイントの数と置き場所」にあります。回線の速さを上げても、居室の奥まで電波が届かなければ改善しません。判断の軸は「つなぐ端末の数」「電波を遮る建物の構造」「止まったときに誰が気づくか」の3つ。この3つを整理すれば、機器の入れ替えで済むか、配線からやり直すべきかは見えてきます。
夜勤の時間帯、ステーションのパソコンに見守りセンサーの通知が届かない。スタッフがタブレットを持って廊下の端まで歩き、画面の電波マークを確かめる。記録アプリの「送信中」がいつまでも消えず、手書きのメモに切り替える。
「業者は『回線は問題ない』って言うけど、じゃあ何が原因なの」
「センサーを増やしたら、もっと不安定になるんじゃないか」
「せっかく入れた機械なのに、結局使われなくなったらどうしよう」
迷うのは無理もありません。介護の現場では、Wi-Fiが「見守り」「記録」「インカム」「入居者のテレビ電話」と、いくつもの役割を同時に担うようになりました。ところが、設計は事務所向けのまま、ということが多いのです。この記事では、名古屋で電気通信工事とICTソリューションを手がけ、アクセスポイントの設置を業務としている立場から、途切れる理由、見直しの順番、業者を比べる基準を整理します。
【この記事のポイント】
- 途切れる主な原因は回線ではなく、アクセスポイントの数・位置・設定にある
- 見守りセンサーやインカムは「止まったら困る通信」として、他の用途と分けて考える
- 業者比較では、電波の事前調査と施工後の測定結果を出してくれるかを確認する
この記事の結論
- 一言で言うと、介護施設のWi-Fiは「廊下で届く」ではなく「居室の奥で届く」で設計する
- 最も重要なのは、つなぐ端末の種類と台数を先に数え、用途ごとに優先度を決めること
- 失敗しないためには、施工前後の電波測定と、夜間に止まったときの連絡体制を決めておくこと
- 1社に即決せず、2〜3社に同じ条件で提案を依頼して比較するのが納得への近道
介護施設でWi-Fiが途切れやすい3つの理由
家庭用や事務所向けの機器を、居室の多い建物に置いている
正直なところ、原因として目立つのは機器の性能不足より、台数と位置の問題です。事務所やステーションの近くに2〜3台だけ置き、「廊下の真ん中では届く」状態で終わっている建物は少なくありません。
居室は扉と壁で仕切られ、浴室やトイレの配管、防火扉も電波を弱めます。特に鉄筋コンクリートの建物では、廊下で十分な強さでも、居室の窓際では途切れることがあります。見守りセンサーはベッドの近く、つまり居室の奥に置かれます。電波がいちばん届きにくい場所に、いちばん止まってほしくない機器がある。これが介護施設ならではの難しさです。
確かめ方は単純です。スタッフのタブレットを持って、廊下ではなく居室の奥まで入り、電波の強さと記録アプリの送信にかかる時間を見る。数室でも実際に歩いてみると、「どの部屋で弱いか」の見当がつきます。
見守り・記録・インカム・入居者用が、同じ電波を取り合っている
よくあるのが、導入した時期も業者も違う機器が、同じWi-Fiにつながっているパターンです。
- 見守りセンサー(居室ごとに1〜2台)
- 記録用のタブレットやスマホ(スタッフ数分)
- IP方式のインカムやナースコール連携
- 入居者やご家族用のWi-Fi(動画やテレビ電話)
こうした環境では、夕方から夜にかけて動画やテレビ電話が増える時間帯に、見守りの通知や記録の送信が遅れる、という形で不調が表れることがあります。原因が時間帯にあると気づきにくいのが厄介なところです。
ケースによりますが、入居者用のWi-Fiを別のネットワークに分け、使える帯域を制限するだけで改善することもあります。止まったら困る通信を先に通す、という考え方で設定を見直すわけです。
誰も電波の状態を見ておらず、止まっても気づけない
実は、機器の問題と同じくらい大きいのが「管理する人がいない」ことです。アクセスポイントが1台止まっていても、スタッフは「今日は調子が悪い」と感じるだけ。夜勤帯なら、朝まで誰にも気づかれません。
電波環境協議会は、医療機関で電波を安全に使うための手引きを公表し、無線LANの管理体制づくりを勧めています。介護施設でも、医療や介護に関わる機器を使う以上、同じ考え方が参考になります。手引きの内容は見直されるため、詳しくは公式サイトで最新のものを確認してください。
機器をまとめて管理できる仕組みを入れておけば、どの1台が止まっているかを遠隔で確認できます。あわせて、夜間や休日に誰へ連絡するかを決めておくと、現場が「朝まで待つしかない」状態から抜け出せます。
導入や見直しで迷ったときの判断基準と、進め方
業者を比べるときの判断基準5つと、導入方法の比較表
介護施設のWi-Fiを見直すとき、そして業者の提案を比べるときに使える基準は次の5つです。
- 端末の数と種類:見守り・記録・インカム・入居者用を合わせて何台つながるか
- 届かせる範囲:居室の奥・浴室・食堂・屋外の散歩スペースまで必要か
- 用途の分離:止まったら困る通信と、入居者用を分けているか
- 測定と記録:施工前の電波調査と、施工後の測定結果が出るか
- 障害時の体制:夜間や休日に止まったとき、誰に連絡し、どこまで対応してもらえるか
導入方法ごとの違いは次のとおりです。費用は建物の構造や規模、配線ルートで大きく変わるため、現地調査のうえでの見積もりで確認してください。
| 導入方法 | 仕組み | 向いているケース | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 家庭用ルーターを増設 | 市販の機器を必要な場所に足す | 数室規模/つなぐ端末がごく少ない | 台数が増えるほど不安定になりやすい/一元管理ができない |
| 業務用APを配線して設置 | 図面をもとに設計し、有線で各APをつなぐ | 居室数が多い/見守りや記録を全館で使う | 配線工事が必要/設計の根拠を説明してもらう |
| レンタル型のサービス | 機器を借り、保守込みで使う | 初期の持ち出しを抑えたい | 長期の総額と解約条件/対応範囲がどこまでか |
| 見守り機器メーカーの専用無線 | 見守り機器専用の通信方式を使う | 見守りだけを確実に動かしたい | 記録や入居者用には使えない/メーカー依存になる |
なお、厚生労働省や各都道府県は、介護現場のICT化やテクノロジー導入を後押しする事業を行っており、通信環境の整備が対象に含まれることがあります。対象や申請の条件、受付の時期は年度ごとに変わるため、必ず各都道府県の最新の公募要領で確認してください。
決める前にそろえる材料と、確認する順番
提案を比べる前に、手元の情報を整理しておくと差が見比べやすくなります。そろえるのは次の材料です。
- 端末の台数:見守り、記録用タブレット、インカム、入居者用を種類ごとに数える
- 建物の情報:階数、居室数、構造(鉄筋コンクリートか木造か)、防火扉の位置
- 今の機器:アクセスポイントやルーターの台数・設置場所・型番
- 困っている場所と時間帯:どの居室で、いつ途切れるか
- 図面:建物の図面と配線図。残っていれば事前調査が早く進みます
確認の順番はこうです。まず端末を数える。次に、困っている居室の奥で電波を測る。そのうえで、入居者用と業務用が分かれているかを見る。最後に、夜間の連絡体制を決める。この順番なら、機器を買い足す前に「本当に足りないのは何か」がはっきりします。
前任の担当者が退職し、機器の構成が分からないという状態でも、事前に調べたうえで対応を組み立てる進め方があります。分からない項目は、そのまま伝えて構いません。
業者を比べるときに見ておきたい3点
同じ施設の条件を伝えても、提案の中身は会社によって差が出ます。次の3点をそろえて聞くと、比較の軸が定まります。
- 居室の奥で測った電波の数値を、施工の前後で見せてくれるか
- 提案する台数の根拠を、図面の上で1台ずつ説明してくれるか
- 夜間に止まったときの連絡先と、対応の範囲が決まっているか
この3点がそろっていれば、どの会社でも任せる判断はしやすくなります。他社と比べる際のチェックリストとしても使ってください。
コムネットワークの施工事例には、介護付き有料老人ホームのWi-Fiや、小児科クリニックのネットワークが含まれます。アクセスポイントの設置は数百台から千台規模の案件まで対応しており、設計・構築から運用保守までをワンストップで手がけています。お問い合わせの後は、担当から電話でヒアリングし、現地調査のうえで見積もりをお出しする流れです。
見積もりを取っても、依頼が必須になることはありません。「今の台数で足りているか知りたい」という段階でもご相談ください。
- お電話:052-533-0331(名古屋市中村区名駅南)
- お問い合わせフォーム:当サイトのCONTACTページから
よくある質問
Q1. 回線を速いプランに変えれば、途切れなくなりますか?
A1. 多くの場合は改善しません。途切れる原因の大半はアクセスポイントの数と位置にあり、回線の速さとは別の問題です。
Q2. アクセスポイントは何室に1台必要ですか?
A2. 一律の答えはありません。建物の構造、壁の材質、つなぐ端末の数で変わるため、事前の電波調査をもとに決めてください。
Q3. 見守りセンサーとタブレットは同じWi-Fiでいいですか?
A3. 同じ機器を使っても構いませんが、ネットワークは分け、見守りの通信を優先する設定にするのが安全です。
Q4. 入居者やご家族用のWi-Fiは用意すべきですか?
A4. 用意するなら、業務用とは別のネットワークにして帯域を制限してください。分けずに開放すると、業務の通信が遅れる原因になります。
Q5. 工事は入居者が生活している中でもできますか?
A5. 天井や廊下での作業が中心になるため、居室の生活を大きく妨げずに進められる場合が多くあります。日程は現地調査のうえで相談してください。
Q6. 医療機器への影響は心配ありませんか?
A6. 電波環境協議会の手引きが参考になります。医療機器を使う場所では、機器メーカーの注意事項もあわせて確認して設計します。
Q7. 業者は何社くらい比較すべきですか?
A7. 2〜3社が目安です。AP台数と配置、測定結果の有無、夜間の対応範囲を同じ条件でそろえて比べてください。
まとめ
介護施設のWi-Fiが途切れるのは、回線の問題というより、居室の多い建物に合わせた設計ができていないことが原因です。見守り・記録・インカム・入居者用をひとまとめにせず、止まったら困る通信を守る。その考え方で見直せば、機器の数も優先順位も説明がつくようになります。
この記事のまとめ:要点3つ
- 途切れる原因の多くはアクセスポイントの数と位置。居室の奥で測って判断する
- 見守りや記録の通信は、入居者用と分けて優先する
- 業者比較は、測定結果・台数の根拠・夜間の体制の3点をそろえて行う
まずは、施設内でWi-Fiにつながっている端末を種類ごとに数えてみてください。その数字を持って2〜3社に相談すれば、提案の違いが見えやすくなります。比べる相手の一社としてコムネットワークにもお声がけいただければ、今の機器で足りる部分も含めて包み隠さずお答えします。























