
オフィスのLAN配線は自分でやっても大丈夫?DIYで済む範囲と業者に任せるべき工事の見分け方
オフィスのLAN配線は、条件次第で自分でも引けます。ただし天井裏や壁の中を通す配線は、業者に任せた方が結果的に負担が小さくなります。判断の分かれ目は「通すルート」「1本の長さ」「止まったときの損失」の3つ。この3つを見れば、DIYで済むか、任せるべきかはほぼ決まります。
きっかけは、たいてい見積書です。席を増やすだけなのに、想像していたより桁がひとつ大きい。ネット通販でLANケーブルの箱入り製品を検索し、かしめ工具の使い方の動画を、気づけば3本続けて見ている。
「これ、自分でやったらかなり抑えられるんじゃないか」
「でも、失敗して社内のネットが止まったら誰が直すんだろう」
「そもそも、この工事内容は妥当なのか」
迷うのは当然です。DIYの情報は「できる」側に、業者の情報は「頼むべき」側に偏っていて、自分の事務所がどちらに当てはまるのかを教えてくれる情報がほとんどありません。この記事では、名古屋で電気通信工事に携わる立場から、DIYで成立する範囲と任せるべき範囲の線引き、そして業者を比べるときの判断基準を整理します。
【この記事のポイント】
- 露出配線で数本ならDIYも現実的。天井裏・壁内・長距離の配線は業者向き
- 比べるのは材料の負担ではなく「不調になったときに失う時間」まで含めた全体
- 業者を選ぶときは、通信試験の結果と配線図を残してくれるかで比べる
この記事の結論
- 一言で言うと、LAN配線のDIYは「見える場所・短い距離・少ない本数」なら成立する
- 最も重要なのは、手間の大小ではなく配線が不調になったときの業務停止リスクで判断すること
- 失敗しないためには、DIYと業者のどちらを選ぶ場合でも「通信試験」と「配線の記録」を残すこと
- 1社の見積もりだけで決めず、2〜3社を同じ条件で比較するのが納得への近道
小規模オフィスでLAN配線を自分で引こうとしたときにつまずく3つの落とし穴
天井裏や壁内を通すと、失敗の原因が見えなくなる
正直なところ、LANケーブルを引くこと自体はそれほど難しくありません。難しいのは「通したあとに、なぜ遅いのか分からない」状態になることです。
見えない場所を通した配線が不調になるとき、原因は一つとは限りません。結束バンドを強く締めすぎてケーブルが潰れている、照明や動力の電源線と長い距離を並走している、コネクタの芯線の並びが途中で入れ替わって本来の速度が出ていない。こうした要因が重なると、切り分けだけで何日も溶けます。
しかも症状は「たまに遅い」「一部の席だけ同期が終わらない」という形で出やすく、機器の故障と見分けがつきません。ネットワークを疑う前に、パソコンやクラウド側の設定を延々と触ってしまう、という遠回りになりがちです。
なお、LANケーブルは急な角度で曲げると性能が落ちます。曲げ半径はケーブル外径の数倍を確保するのが基本ですが、天井裏の見えない場所では、それが守れているかを後から確認する手段がありません。
距離と本数を甘く見ると、規格の上限を超えてしまう
一般的な銅線のLAN配線は、機器と機器の間で最大100mが目安とされています。「100mもあれば十分」と思いがちですが、天井裏を迂回し、床に下ろし、余長を残すと、フロアの端から端で意外なほど長くなります。届いてはいるが上限ぎりぎり、という状態は、後から機器を足したときに響きます。
よくあるのが、余ったケーブルを機器の裏でぐるぐる巻きにして束ねるパターン。見た目は整いますが、発熱や信号の劣化につながりやすく、通信が不安定になる一因になります。
本数も要注意です。3〜4本ならまだしも、10本を超えるとどれがどの席につながっているか分からなくなります。ラベルを付けずに引いた配線は、半年後の席替えで必ず困ることになります。
建物のルールや資格が関わる作業が混ざっている
実は、DIYで一番つまずきやすいのは技術よりも建物のルールです。
- テナントビルでは、天井や壁を開ける作業に管理会社への申請が必要なことが多い
- 防火区画をまたぐ配線は、貫通部の処理について建物側の決まりを確認する必要がある
- コンセントの増設・移設は、電気工事の資格が関わる作業になる
- 通信事業者の回線設備に機器をつなぐ工事も、資格の範囲が関わることがある
LANケーブルを引くこと自体に、原則として資格は不要です。ただ、配線に付随してこうした作業が発生した時点で、DIYの範囲を超えます。自分の工事がどれに当たるのかは、着手前に管理会社と業者の双方に確認しておくと安全です。
自分でやるか業者に頼むか、比較するときに使える判断基準
失敗しないための判断基準5つと選択肢の比較表
DIYか業者かを決めるとき、そして業者同士を比べるときにも使える基準は次の5つです。
- ルート:配線が露出(床・壁面のモール)か、隠蔽(天井裏・壁内・床下)か
- 長さと本数:1本あたりが長距離になるか、合計10本を超えるか
- 止まったときの損失:半日止まると、どの業務が何時間止まるか
- 建物のルール:管理会社の申請、防火区画、電源工事が絡むか
- 記録:通信試験の結果と配線図が残るか
選択肢ごとの性格を並べると、次のようになります。
| 選択肢 | 仕組み | 向いているケース | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 完全DIY | 材料と工具をそろえて自分で敷設 | 露出配線で数本、短距離 | 試験と原因特定を自力でできるか |
| 量販店などの設置サービス | 家庭向けの延長・設置が中心 | 1か所だけの簡単な増設 | 天井裏や多数配線が対象外でないか |
| 電気工事店 | 電源工事と併せて依頼 | コンセント増設と同時に行う | 通信試験や機器設定まで含むか |
| 通信工事の専門業者 | 設計から試験・記録まで一括 | 隠蔽配線、本数が多い、移転時 | 工事範囲と納品物が書面にあるか |
もう一つ、比べてほしい軸があります。ネットが半日止まったとき、社内で何人の手が止まり、外部との連絡がどれだけ遅れるか。材料の値段だけを見ていると、この部分がまるごと抜け落ちます。DIYで浮かせたつもりの分が、原因探しの時間で消えることは珍しくありません。
決める前にそろえる材料と、確認する順番
検討は、次の順番で進めると迷いが減ります。
- 最初に:今の配線が何本あり、どこからどこまで通っているかを図に描く。分からない部分は「不明」と書いておく
- 次に:増やしたい口数と場所、いつまでに使えるようにしたいかを決める
- その前に:テナントであれば管理会社に、どこまで手を入れてよいかを確認する
- そのうえで:DIYで触る範囲と、業者に任せる範囲の線をいったん引いてみる
- 最後に:同じ条件を2〜3社に伝えて、工事範囲・試験内容・納品物を比べる
ケースによりますが、全部をどちらかに寄せる必要はありません。天井裏と壁内は業者、机まわりのパッチケーブルの整理と交換は自社、という分け方は現実的です。自分でやりたい部分があるなら、見積もり依頼のときにそう伝えてしまう方が、範囲が明確になって話が早く進みます。
業者を比べるときに確認しておきたいポイントとご相談先
依頼先を決めるとき、手がかりになるのは金額の多寡ではなく、次のような点です。
- 見積書に「何口・どのルートで・どの試験をするか」が書かれている
- 完了後に試験結果と配線図を受け取れると明言している
- 自分でやりたい部分を否定せず、線引きを一緒に考えてくれる
逆に言えば、この3点を満たしていれば、当社でなくても安心して任せられる業者だと判断できます。他社と比べる際のチェックリストとして、そのまま使ってください。
コムネットワークは、電気通信工事とICTソリューションを手がけ、設計・構築から運用保守までをワンストップで承っています。全国の協力会社と連携し、数本の配線から大規模なアクセスポイント設置まで対応します。お問い合わせをいただいたあとは、電話でのヒアリング、現地調査、見積もりのご提案という流れです。建物の図面や配線図をお持ちいただけると、調査がスムーズになります。
見積もりを取ったら必ず依頼しなければならない、ということはありません。「この部分だけ自分でやりたい」という前提のご相談も歓迎です。他社の見積もりと並べるための一社として、気軽に使ってください。
- お電話:052-533-0331(名古屋市中村区名駅南)
- お問い合わせフォーム:当サイトのCONTACTページから
よくある質問
Q1. LANケーブルを引くのに資格は必要ですか?
A1. ケーブルの敷設自体には、原則として資格は不要です。ただしコンセントの増設・移設など、電気工事の資格が関わる作業は別です。
Q2. DIYで済むのは何本くらいまでですか?
A2. 露出配線で3〜5本程度が現実的なラインです。10本を超える、または天井裏を通すなら業者を検討した方が安全です。
Q3. 業者に頼むとどれくらいかかりますか?
A3. 費用は口数・配線ルート・建物の条件で大きく変わります。現地調査のうえで出してもらう見積もりで確認してください。
Q4. 自分で引いた配線が遅い場合、どう確認すればいいですか?
A4. まずパソコン側のリンク速度を確認してください。想定より低い速度でつながっていれば、コネクタの芯線の並びかケーブルの損傷が疑われます。
Q5. Cat6とCat6A、DIYならどちらがいいですか?
A5. 一般的な事務所ならCat6で足りることが多いです。Cat6Aは太く硬いため、DIYでは曲げや取り回しの難易度が上がります。
Q6. 賃貸オフィスで配線するときの注意点は?
A6. 天井・壁を開ける作業は、事前に管理会社の許可が必要なケースがほとんどです。退去時の原状回復の範囲も先に確認しておくと安心です。
Q7. 見積もりは何社から取るべきですか?
A7. 2〜3社が目安です。金額だけでなく、工事範囲・試験内容・図面の有無を同じ条件で比べてください。
まとめ
LAN配線のDIYは、条件を選べば十分に成立します。問題になるのは、見えない場所・長い距離・多い本数、そして建物のルールが絡んだとき。そこで無理をすると、浮かせたつもりの手間が、原因探しの時間と業務停止で戻ってきます。
この記事のまとめ:要点3つ
- 露出で数本ならDIY、天井裏・壁内・10本超は業者という線引きが基本
- 判断材料は材料の値段ではなく「止まったときに失う時間」まで含めて考える
- 業者比較は、工事範囲・試験結果・配線図の3点をそろえて行う
自分でやるか迷っている段階でも構いません。まずは今の配線ルートと本数をメモして、2〜3社に同じ条件で聞いてみてください。その比較の一社として、コムネットワークにも気になる点を質問していただければ、DIYで済む部分も含めて正直にお答えします。























