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通信・電気の工事は誰でもできる?資格と法令の基本を発注側として知る

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通信や電気の工事を外注するとき、発注する側が知っておくべき資格と法令の枠組みを解説します。

通信や電気の工事は、誰にでもできる作業ではありません。法令によって、有資格者による施工が必要と定められている範囲があります。

そして、その範囲を知らないまま発注して困るのは、工事をした業者ではなく、その建物と設備をこの先も使い続ける発注側です。

正直なところ、見積書に「この作業は誰がやるのか」までは書かれていません。安かったから頼んだ、知り合いだから頼んだ。その数か月後に、やり直しの相談が来る。この順番のトラブルが、実はかなり多いのです。


この記事のポイント

  • 押さえるべき系統は三つです。建物の電気設備を扱う電気工事士、通信回線に機器をつなぐ工事を扱う工事担任者、そして無線設備を規律する電波法。これに、工事を請け負う会社側の建設業許可や登録が加わります。発注側が条文を暗記する必要はありません。「この工事にはどの資格が要りますか」と聞ける状態であれば十分です。
  • 無資格での施工が招くのは、法令上の問題だけではありません。感電や発火といった安全面のリスク、事故が起きたときに保険の対象外となる可能性、そして原状回復とやり直しの費用。目先の工事費を数万円抑えた結果、桁の違う出費になることがあります。
  • 名古屋・愛知は、築年数を重ねたオフィスビルと、郊外の工場・倉庫が同じ会社の中に混在しやすい地域です。既存建物への後付け配線、高い天井、動力設備のある現場。ケースによりますが、こうした環境ほど有資格者でなければ触れない作業が絡んできます。

この記事の結論

一言で言うと、通信と電気の工事には、法令で有資格者でなければ従事できないと定められた範囲があります。発注側の仕事は、その線引きを自分で判断することではなく、資格を持つ人が施工する体制になっているかを確認することです。

最も重要なのは、契約の前に「この工事に必要な資格は何で、誰が持っていますか」と一度尋ねることです。実は、この一言に答えられない相手は、その時点で候補から外して構いません。まともな業者ほど、即答できます。

失敗しないためには、法令の細部を自分で調べ切ろうとしないことです。制度は改正されますし、例外や区分も細かく決められています。詳細は所管省庁の最新情報を確認する。そのうえで、有資格者による施工が必要だという前提だけを固く持ってください。


「配線くらい社内でできるのでは」と思ったところで、手が止まる

とりあえず社内でいちばん詳しい人に頼もうとする

よくあるのが、機器の増設や席替えに伴う配線を、社内でいちばんパソコンに詳しい人に頼むという進め方です。外注すれば見積もりも稟議も要ります。目の前の一本を通すだけなら、頼んでしまった方が早い。気持ちは分かります。

ただ、その一本がどこを通る線かで話はまったく変わります。机の上でLANケーブルを挿し替えるのと、壁の中や天井裏を通して新しく引くのとでは、別の作業です。後者には、法令上の工事に該当してくる範囲が出てきます。

電源側に触れる作業なら、なおさらです。コンセントの増設、配線器具の交換、分電盤まわりの作業。この領域は原則として有資格者による施工が必要とされており、社内の詳しい人で済ませてよい範囲ではありません。

現場から返ってくるのは「前もこれでやってた」の一言

担当者が慎重に確認しようとすると、現場からはこの一言が返ってきます。前任者のときはこうしていた、前の業者はこれで通していた。だから今回も同じでいい、という話の流れです。

この一言が厄介なのは、事実ではあるからです。実際にそうやってきたのでしょう。しかし、これまで問題が起きなかったことは、その施工が適法だったことの証明にはなりません。ただ表面化していないだけ、ということもあります。

さらに、制度は途中で変わります。数年前の運用が今も同じとは限りません。だからこそ、前例ではなく現在の要件を基準にしてください。詳細は所管省庁の最新情報を確認するのが確実です。

上に説明できない、何かあったとき自分の責任になるのが怖い

もう一つ、担当者を止めているのは責任の所在です。ひとり情シスや総務兼任の方から、この不安をよく聞きます。安く済ませろと言われて手配し、後から問題が出たら誰が責任を取るのか。

この不安は、正当です。そして解消の方法は、判断を自分で抱え込まないことです。工事の適法性を担当者個人が判断する必要はありません。判断するのは施工する側で、発注側は体制を確認するだけです。

確認した内容と、相手の回答を一枚の紙に残してください。誰に、いつ、何を聞いて、どう答えられたか。この記録があるだけで、担当者が背負うものはずいぶん軽くなります。


発注前に押さえておく三つの基準

基準1:その作業が「電気」か「通信」か「電波」かを切り分ける

まず用語を短く整理します。電気工事士は、建物の電気設備、つまり電気工作物の工事に従事するための国家資格です。工事担任者は、電気通信事業者の回線に電話機やルーターなどの端末設備をつなぐ工事に関わる国家資格。そして電波法は、電波を出す無線設備そのものを規律する法律です。

つまり、同じ「ネットワーク工事」と呼ばれる作業の中に、性格の違う三つの領域が同居しています。分電盤から新しく電源を引くなら電気の話。回線終端装置に機器をつなぎ込むなら通信の話。無線のアクセスポイントを増やすなら、電波の話も絡んできます。

一つの現場でこれらが同時に発生することは珍しくありません。だから、業者に見積もりを依頼するときは、作業の内訳ごとに「これはどの資格に該当しますか」と聞いてください。区分がきちんと説明できる相手なら、施工体制も整っていると考えてよいでしょう。

なお、それぞれの資格には種別や範囲の区分があり、例外的な軽微な作業の扱いも定められています。ここは条文の読み方が難しい部分です。細かい線引きは所管省庁の最新情報を確認し、判断は有資格者に委ねてください。

基準2:資格は「人」につき、許可や登録は「会社」につく

見落とされやすいのが、この二層構造です。電気工事士や工事担任者は、人が取得する資格です。一方で、工事を請け負う会社の側にも、業として営むための許可や登録の制度があります。

代表的なのが建設業の許可で、電気工事業や電気通信工事業といった業種の区分があります。一定の規模を超える工事を請け負う場合に必要とされるもので、金額の基準や区分は制度で定められています。加えて、電気工事業を営む場合には、別途の登録や届出の仕組みもあります。

つまり、資格者が在籍していることと、会社として適切に許可や登録を得ていることは、別の話です。どちらも確認の対象になります。名刺や会社概要に記載されていることが多いので、まずはそこを見てください。

そして、実際に現場に入る人が有資格者かどうかも別問題です。ケースによりますが、下請けや応援の職人が入る現場では、誰がどの作業を担当するのかまで確認しておくと安心です。

基準3:無資格施工のリスクは、法令違反だけで終わらない

ここが発注側にとって最も切実な部分です。適切な資格を持たない者による施工には、法令上の問題が生じます。罰則の有無や内容は制度で定められており、改正もされますから、詳細は所管省庁の最新情報を確認してください。

ただ、現実に効いてくるのは別のところです。まず安全です。電源まわりの不適切な施工は、感電や発火につながります。壁の中や天井裏の配線は、日常的に点検できません。何年も経ってから表面化することがあります。

次に保険です。火災や事故が起きたとき、原因が不適切な施工にあると判断されると、保険金の支払いや責任の所在をめぐって争いになる可能性があります。約款の内容は契約によって違いますから、加入先に確認しておくのが確実です。

三つ目が費用です。適法な状態に戻すための撤去とやり直し、賃貸物件なら原状回復。安く済ませたはずの工事が、結果として何倍にもなる。この相談は本当によく聞きます。


名古屋の建物事情と、どこまで自社で抱えるか

築年数のあるビルと、工場・倉庫が混在する地域だからこそ

名古屋・愛知では、市内の築年数を重ねたオフィスビルに本社を置き、県内や近県に工場や倉庫を持つという構成の会社が多く見られます。この二つは、工事の性格がまるで違います。

古いビルは、そもそも今の通信量を前提に配線されていません。後から線を通す作業になり、共用部やほかのテナントに関わる場合はビル管理会社との調整も要ります。ここで無資格の施工が発覚すると、建物側との関係にも影響します。

工場や倉庫は、また別です。天井が高く、粉じんや湿気があり、動力設備が近くにある。作業環境そのものが厳しいうえに、電気設備の規模が大きくなる分、扱いに求められる資格の範囲も変わってきます。同じ会社の中でも、拠点ごとに必要な体制は違うと考えてください。

機器を「買う」段階から法令は関わる ― 技適マークのこと

工事ではなく調達の話ですが、ここも押さえておいてください。国内で電波を出す無線機器は、技術基準に適合していることを示す表示、いわゆる技適マークのある機器を使うのが原則です。無線LANのアクセスポイントや、業務用の無線機などが該当します。

よくあるのが、海外の通販サイトで安く見つけた機器をそのまま業務で使ってしまうケースです。国内向けの表示がない機器を電波を出す形で使うと、電波法上の問題になり得ます。制度の詳細や対象範囲は所管省庁の最新情報を確認してください。

判断に迷ったら、国内の正規流通品を選ぶ。これがいちばん確実で、結果的に安く付きます。機器の選定を業者に相談するときも、この点を確認しておくと安心です。

自社で決めること、外部に任せること

自社で決めるべきなのは、条件の方です。どこに何を置きたいのか、いつまでに使えるようにしたいのか、予算の上限はいくらか、稼働中に止められない時間帯はいつか。これは外部の業者には決められません。

外部に任せるのは、実現の方法です。どの工事が必要で、どの資格に該当し、誰が施工するのか。有資格者による施工が必要な範囲の判断も含めて、ここは専門家の領域です。無理に自社で線引きしようとしないでください。

そのうえで、発注時に確認するのは四点です。該当する資格を持つ人が在籍しているか。実際に現場に入るのは誰で、下請けが入るならその体制はどうなっているか。工事に関する保険に加入しているか。そして、施工後に図面や作業内容の記録を出してもらえるか。

四つ目を軽く見ないでください。記録が残っていれば、次の工事も故障時の切り分けも早くなります。担当者が替わったときに、そこで初めて価値が分かります。


こういう会社は今すぐ発注のやり方を見直すべき

  • 社内の詳しい人が、壁や天井裏の配線、コンセント周りの作業まで対応している
  • 見積書に作業の内訳がなく、一式いくらとしか書かれていない
  • 依頼している業者に、必要な資格を持つ人が在籍しているか確認したことがない
  • 現場に入る人が下請けかどうか、誰が施工するのかを把握していない
  • 過去の工事の図面や記録が社内に一切残っていない
  • 海外通販で購入した無線機器を、国内向けの表示を確認せず業務で使っている

ひとつでも当てはまるなら、次の見積もり依頼のときに一言添えるところから始めてください。「必要な資格と、施工体制を教えてください」。これだけで、相手の姿勢は驚くほどはっきり見えます。


よくある質問

Q1. LANケーブルを自分で挿し替えるのも資格が要りますか?

机の上で既設の差込口に機器をつなぐ程度の行為と、壁や天井裏に新しく配線を通す工事とは、別物として扱われます。前者まで一律に資格が必要というわけではありません。ただし線引きは作業内容によって変わりますから、迷う作業は自分で判断せず、有資格者に確認してください。

Q2. 電気工事士と工事担任者は、両方必要ですか?

工事の内容によります。電源に関わる部分と、通信回線に機器をつなぐ部分の両方が発生する現場では、それぞれに対応できる体制が必要になります。一人が複数の資格を持っている場合もあります。業者に作業の内訳ごとの担当を確認するのが確実です。

Q3. 罰則はどのくらい厳しいのですか?

罰則の内容は法令で定められており、改正されることもあります。ここで断定的に書くべきではありませんので、詳細は所管省庁の最新情報を確認してください。実務上より重いのは、事故が起きたときの安全と責任の問題、そしてやり直しの費用です。

Q4. 技適マークがない機器を持っているのですが、どうすればいいですか?

まず、業務で電波を出す形での使用は止めて、状況を整理してください。制度には実験や試験に関する特例なども設けられていますが、要件は細かく定められています。自己判断せず、所管省庁の最新情報を確認するか、機器の販売元と施工業者に相談してください。

Q5. 建設業許可がない業者に頼んではいけないのですか?

許可が必要になるのは、一定の規模を超える工事を請け負う場合とされています。基準や区分は制度で定められていますから、金額の大きい工事ほど確認の必要性は上がります。小規模な作業であっても、資格者の在籍と保険の加入は確認しておいてください。

Q6. 資格の有無は、どうやって確認すればいいですか?

まっすぐ聞いてください。「この工事に必要な資格は何で、どなたが持っていますか」。これが最も早い方法です。会社概要や見積書に記載がある場合もあります。答えを濁す、話をそらす、書面に残したがらない。この反応が出たら、別の業者を検討する材料になります。

Q7. 前の業者がやった工事が心配です。今から確認できますか?

できます。現在の設備の状態を、有資格者に見てもらう調査から始めるのが一般的です。壁の中まですべてを開けて見ることは難しくても、分電盤まわりや配線の取り回し、機器の設置状況からある程度は判断できます。心配なら、次の工事の機会に合わせて依頼すると効率的です。


まとめ

通信や電気の工事は、誰でもできる作業ではありません。電気工作物の工事、通信回線への接続工事、無線設備の取り扱い。それぞれに法令の枠組みがあり、有資格者による施工が必要とされる範囲があります。

とはいえ、発注側がその線引きを覚える必要はありません。覚えるべきは質問の仕方です。この工事にはどの資格が要るのか、誰が施工するのか、保険はどうなっているのか、記録は出るのか。この四つを聞けば、相手の体制はほぼ見えます。

そして、法令の細部は改正されます。この記事に書いたことも、枠組みの説明にとどめています。金額の基準、資格の区分、罰則の内容といった具体的な要件は、必ず所管省庁の最新情報を確認してください。判断そのものは有資格者に委ねる。これが最も安全で、結局は最も早い進め方です。

名古屋・愛知のように、古いビルの本社と郊外の工場を同時に抱える会社では、拠点ごとに求められる体制が変わります。全社一律のやり方は、どこかで無理が出ます。次に工事を依頼するとき、あなたはまず何を確認しますか?



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