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夕方になると遅くなる回線|IPoE・IPv6で変わる混雑の仕組み

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夕方だけ回線が遅くなる会社に向けて、PPPoEとIPoEの違い、IPv6で混雑の起き方が変わる理由、そして方式を変えても直らない遅さの見分け方を解説します。

「夕方になると遅くなる」は、気のせいではありません。時間帯にきれいに連動して遅くなるなら、原因はかなり絞り込めます。

鍵を握るのは社内の機器ではなく、インターネットへ出ていくときの「方式」です。PPPoEとIPoE。同じ光回線を使っていても、この二つは通る道そのものが違います。

正直なところ、このテーマは担当者にとって説明しづらい領域です。目に見えない、手で触れない、証拠として出せる数字も乏しい。「また遅いんだけど」と言われても、何を見せれば上に納得してもらえるのか分からない。そこで止まってしまう方が本当に多いです。


この記事のポイント

  • 夕方から夜にかけて決まって遅くなる症状は、PPPoE方式で使われる網終端装置という設備の混雑が原因になっているケースが多くあります。回線そのものの太さや、社内のパソコンの性能とは別の話です。まずここを疑う順番を間違えないことが、無駄な機器交換を避ける最短ルートになります。
  • IPoE方式に変えれば何でも速くなる、という話ではありません。IPv4 over IPv6への対応、手元のルーターが対応しているか、固定IPが要るか、社内の業務システムが問題なく通るか。この四点をつぶさないまま切り替えると、遅さは直っても別のトラブルを抱え込むことになります。
  • 名古屋・愛知圏では、築年数の経ったオフィスビルにテナントとして入っている会社、工場や倉庫と事務所を分けて構えている会社が目立ちます。建物側の設備がどうなっているか、拠点ごとに契約がバラバラになっていないか。回線方式の話は、こうした建物と拠点の事情とセットで考えないと結論が出ません。

この記事の結論

一言で言うと、夕方に遅くなる回線の多くはPPPoE方式の混雑が原因であり、IPoE方式に切り替えることで改善が見込めます。ただし「見込める」であって、確約ではありません。改善幅はケースによりますが、時間帯による落ち込みが消えるだけでも体感は大きく変わります。

最も重要なのは、切り替えで直る遅さと、直らない遅さを切り分けることです。時間帯に連動する遅さは回線側、いつでも同じように遅いなら社内側。この一本の線を引くだけで、打ち手はまったく変わります。逆にここを飛ばすと、回線を替えたのに何も変わらなかった、という一番つらい結果になりかねません。

失敗しないためには、切り替えの前に業務要件を洗い出しておくことです。拠点間のVPN、外部からのリモートアクセス、社外に公開しているサーバー、固定IPを条件にしているサービス。実はこのあたりが、方式変更でもっともつまずくポイントです。速さの話をしているつもりが、つながる・つながらないの話になってしまいます。


「夕方だけ遅い」と言われて、担当者は何に困っているのか

最初に疑うのは、たいてい機器と社内の設定

よくあるのが、まずルーターを再起動し、次にLANケーブルを疑い、それでも直らないのでWi-Fiのアクセスポイントを買い替える、という流れです。悪い判断ではありません。手元でできることから順に潰していく、真っ当な進め方です。

ただ、時間帯で決まって遅くなる症状に対しては、この順番があまり効きません。機器を新しくしても、夕方になればまた遅くなる。予算を使ったのに変わらなかった、という記憶だけが残ります。

ひとり情シスや総務兼任の担当者ほど、この空振りが重くのしかかります。次に何かを買いたいと言い出しづらくなるからです。

現場から上がってくるのは「速度」ではなく「仕事が止まる」という声

現場は速度の数値では語りません。「クラウドの会計システムが固まる」「Web会議で相手の声が途切れる」「日報を送るのに何分もかかる」。出てくるのは業務の言葉です。

そして決まって夕方に集中します。日中の作業をまとめて片付ける時間帯であり、同時に一般家庭のインターネット利用も立ち上がる時間帯だからです。社内で人が減っているのに遅くなる、という一見おかしな現象が起きます。

この「社内は空いているのに遅い」という感覚が、担当者の混乱を大きくします。使っている人が少ないのだから社内のせいではないはずだ、でも証拠がない。もやもやしたまま日が過ぎていきます。

「切り替えて直らなかったらどうしよう」という警戒心

上司や経営層に回線の変更を提案するとき、担当者が一番怖いのは「で、それで直るの?」と聞かれることです。目に見えない仕組みの話を、専門用語を使わずに説明しなければならない。しかも結果を約束はできない。

工事や設定変更が入るなら、当日は業務が止まる可能性もあります。止めてまでやる価値があるのか。そこを問われると、途端に言葉が弱くなります。

だからこそ、提案の前に「時間帯ごとの記録」という材料を持っておく意味があります。数字は感情論を止めてくれます。


方式を切り替えるかどうかを決める三つの判断基準

基準1:症状が時間帯にきれいに連動しているか

まず確かめるのは、遅さの出方です。朝は快適、昼過ぎから怪しくなり、夕方から夜にかけて明らかに落ちる。翌朝にはまた元に戻る。この波があるなら、回線側の混雑を強く疑って構いません。

PPPoEというのは、光回線の利用者が事業者の設備を通ってインターネットへ出るときの、昔ながらの方式です。この経路の途中に網終端装置と呼ばれる設備があり、多くの利用者がここを共有します。利用が集中すればここが渋滞します。高速道路の料金所を思い浮かべると近いです。道路が何車線あっても、料金所のゲート数が足りなければそこで詰まります。

一方、朝から晩まで同じように遅い、特定のシステムだけ遅い、特定のフロアだけ遅い。こういう出方なら回線方式は主犯ではありません。切り替えても徒労に終わります。記録の取り方は難しく考えず、朝・昼・夕・夜の四回、同じ端末の有線接続で速度を測って日付とともに残すだけでも十分です。一週間分あれば、波は誰の目にも見えます。

基準2:業務システムと通信要件が新しい経路に乗るか

ここが本題です。IPoEは、網終端装置を経由せずにインターネットへ出る方式で、IPv6という新しい住所体系を前提にしています。IPv6は、枯渇したIPv4に代わる次世代のアドレスの仕組み、と押さえておけば実務上は困りません。

問題は、世の中のサービスがすべてIPv6に対応しているわけではないことです。そこでIPv4 over IPv6という技術を使い、従来のIPv4通信も新しい経路に相乗りさせます。逆に言えば、この仕組みに対応していなければ、IPv6のサイトだけが速くて他は従来どおり、という中途半端な状態になります。

つまずきやすいのは次のあたりです。固定IPアドレスが必要なサービスを使っている場合、方式や事業者によっては提供条件が変わります。拠点間VPNや外部からのリモートアクセス、社外へ公開しているサーバーがある場合は、ポートの扱いに制約が出ることがあります。取引先から接続元のIPアドレスを登録するよう求められている場合も要注意です。ケースによりますが、こうした要件が一つでもあるなら、契約前に事業者へ具体的な構成を伝えて可否を確認してください。「速くなりますか」ではなく「この使い方はできますか」と聞くのが正解です。

基準3:手元の機器が対応しているか

方式を変えても、ルーターが対応していなければ意味がありません。IPv4 over IPv6には複数の方式があり、事業者ごとに採用しているものが異なります。ルーター側も、どの方式に対応しているかが機種によって分かれます。

古いルーターをそのまま使い回そうとして、つながらない・遅いままという相談は少なくありません。買い替えが必要になる前提で予算を見ておくほうが安全です。あわせて、社内でUTMやファイアウォールを使っている場合は、その機器の対応状況も確認が要ります。

もう一点。ルーターは対応していても、処理能力が足りずに詰まることがあります。同時接続が多い環境や、拠点間VPNを張っている環境では、機器の性能そのものがボトルネックになります。台数と使い方に見合ったものを選ぶ、という当たり前の話に戻ってきます。


建物・地域・役割分担で決まる、現実的な進め方

名古屋のオフィス事情と、建物側の制約

名古屋の中心部には、築年数を重ねたオフィスビルが数多く残っています。テナントとして入居している場合、回線を新しく引くにも、方式を変えるにも、まず建物側の共用設備がどうなっているかを確認する必要があります。MDF室と呼ばれる配線の集約場所に空きがあるか、管理会社の許可が要るか。ここで日数を取られることがあります。

もうひとつ、愛知県は工場や倉庫を郊外に、事務所を市街地に構える会社が多い地域です。拠点ごとに別々のタイミングで回線を契約してきた結果、方式も事業者もバラバラ、という状態はよく見かけます。夕方に遅いのが特定の拠点だけなら、その拠点の契約を確認するところから始めてください。

複数拠点を持つ会社ほど、契約内容を一覧にして棚卸しする価値があります。何をいくらで、どの方式で使っているのか。答えられない拠点が一つでもあれば、そこが最初の調査対象です。

方式を変えても直らない遅さは、たいてい社内側にある

切り替えを検討する前に、社内側の候補も頭に入れておいてください。実は、回線を替えても体感が変わらない原因の多くはここにあります。

代表的なのは、古い無線LANアクセスポイントに人が集中しているケース、事務所の隅まで電波が届いていないケース、スイッチングハブが古くて速度が頭打ちになっているケース、LANケーブルの規格が古いケース。それから、社内で使っているクラウドサービス側が混んでいる、という社外要因もあります。

見分け方はそれほど難しくありません。有線接続と無線接続で明確に差が出るならWi-Fi側、特定のフロアや部屋だけ遅いなら配線か機器、全員が同じように遅いなら回線側の可能性が高くなります。この三択を先に潰しておくと、業者との会話が一気に速くなります。

どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

自社でやれるのは、症状の記録と切り分けまでです。時間帯ごとの速度測定、有線と無線の比較、拠点ごとの比較、影響を受けている業務の一覧化。ここは担当者にしかできませんし、外部に頼んでも同じ情報を求められます。

外部に任せたほうがいいのは、契約の可否確認と設計、そして工事を伴う作業です。事業者の方式と自社の業務要件が噛み合うかの判断、ルーターやUTMの選定と設定、建物側の調整、切替当日の段取り。特に構内の配線工事や電気工事にあたる作業は、有資格者による施工が必要になります。自前で無理をする場所ではありません。

理想は、記録を持って相談に行くことです。「夕方だけ遅い」と言うより、「平日の十七時以降に下り速度がこの程度まで落ちる、有線でも同じ、拠点Aだけ」と言えるほうが、話は何倍も速く進みます。


こういう会社は今すぐ回線方式を確認すべき

  • 平日の夕方から夜にかけて決まって遅くなり、翌朝には戻る。時間帯の波がはっきりしている会社。
  • 契約書や工事の書類を見ても、自社の回線がPPPoEなのかIPoEなのか誰も答えられない会社。
  • 十年近く同じルーターを使い続けていて、機器の保守期限も把握していない会社。
  • クラウドの基幹システムやWeb会議が業務の中心になっているのに、回線を見直した記憶がない会社。
  • 拠点が複数あり、契約時期も事業者もバラバラで、拠点ごとに体感速度が違う会社。
  • 従業員が増えた、あるいはテレワークや外部からのアクセスが増えたのに、回線側は当時のままという会社。

一つでも当てはまるなら、確認そのものにはコストがかかりません。契約内容とルーターの型番を調べる。それだけで、話が前に進むことがあります。逆に、調べないまま新しい機器を買うのは、いちばん高くつく選択です。


よくある質問

Q1. IPoEに切り替えれば、必ず速くなりますか?

必ずとは言えません。時間帯による落ち込みが原因なら改善が見込めますが、社内のWi-Fiや機器が原因の遅さは残ります。切り替えは万能薬ではなく、原因が回線側にある場合の対処法だと考えてください。

Q2. IPv6にすると、今使っているサイトやシステムは見られなくなりますか?

IPv4 over IPv6に対応した構成であれば、従来どおり利用できます。ただし対応方式は事業者とルーターの組み合わせで決まるため、そこが揃っていないと一部の通信だけ不安定になることがあります。事前確認が必要な部分です。

Q3. 固定IPアドレスを使っています。切り替えても大丈夫ですか?

ここは要確認事項です。方式や事業者によって、固定IPの提供条件やオプションの扱いが変わります。取引先から接続元IPの登録を求められている場合や、自社サーバーを公開している場合は、事前に事業者へ具体的な使い方を伝えて可否を確かめてください。

Q4. 工事は必要ですか。業務は止まりますか?

多くの場合、光回線そのものはそのままで、契約と設定の変更で対応できます。ただしルーターの入れ替えを伴うため、切替作業の間は通信が止まります。ケースによりますが、業務時間外や休業日に作業日を設定するのが現実的です。

Q5. 費用はどれくらいかかりますか?

構成と規模によって幅があるため、一律の目安は出せません。考慮すべきは、月額料金の差、ルーターなど機器の費用、設定や現地作業の費用の三つです。既存契約の残期間や解約条件もあわせて確認してください。

Q6. 速度が遅いのは、契約している回線の速度が足りないからではないですか?

その可能性もありますが、時間帯で変動するなら別の話です。契約上の速度は上限値であり、常時その速度が出るものではありません。夕方だけ落ちるという症状は、契約速度の不足より経路の混雑を先に疑うのが定石です。

Q7. 社内の何を調べておけば、相談がスムーズになりますか?

契約している事業者名とプラン、ルーターの型番、拠点ごとの回線構成、そして時間帯別の速度測定の記録です。加えて、遅くて困っている業務を具体的に書き出しておくと、原因の絞り込みがかなり速くなります。


まとめ

夕方に遅くなる回線は、我慢して付き合うものではありません。PPPoE方式の混雑という、仕組みとして説明できる原因があり、IPoE方式という選択肢があります。まずは自社がどちらの方式で接続しているのかを確認するところからです。

同時に、切り替えでは直らない遅さがあることも忘れないでください。古いアクセスポイント、届かない電波、頭打ちのスイッチ、規格の古いケーブル。社内側の課題を放置したまま回線だけ替えても、体感は変わりません。時間帯に連動するかどうか、有線と無線で差が出るかどうか。この二つを見るだけで、原因はかなり絞れます。

そして、切り替えを決める前に業務要件の棚卸しを。固定IP、VPN、外部からのアクセス、取引先との接続条件。速さの改善を狙ったはずが、つながらないという事故に変わってしまうのは避けたいところです。名古屋のテナントビルであれば、建物側の設備や管理会社への確認も工程に入れておくと安心です。

回線の話は、目に見えないぶん後回しにされがちです。けれど、遅い十分が毎日全員に積み上がっていると考えれば、優先度は自然と上がってくるはずです。次に夕方の「また遅い」が飛んできたとき、あなたは何から手をつけますか?



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