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OA機器を増やしたらブレーカーが落ちる|オフィスの電源容量の考え方

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オフィスでブレーカーが落ちる原因を「電源容量」から整理し、機器を増やす前に何を確認すべきかを解説します。

ブレーカーが落ちる原因のほとんどは、機器の故障ではありません。回路ごとに決められた容量を超えて電気を使っている。ただ、それだけです。

きっかけは驚くほど小さい。複合機を1台増やした、レイアウト変更で島の位置を動かした、暑いから空調の設定を下げた。そのどれもが引き金になります。

正直なところ、電気の話は総務や情シスの担当範囲から少しはみ出しています。だから落ちるたびに「またか」で終わり、根本の原因に踏み込まないまま数年が過ぎてしまう。


この記事のポイント

  • ブレーカーが落ちるのは「オフィス全体の電気が足りない」からとは限りません。多くの場合、特定の1回路(系統)に負荷が集中しているだけです。全体の契約容量に余裕があっても、その回路だけが上限に達すれば落ちます。まず見るべきは総量ではなく、回路ごとの内訳です。
  • 判断の材料は、分電盤の中と、機器に貼られたラベルの2つだけで大半がそろいます。回路が何系統あるか、1回路あたり何アンペアか、そこに何ワットの機器がぶら下がっているか。この3つを紙に書き出すと、落ちている理由はかなりの確率で見えてきます。専門的な計算より、まず棚卸しです。
  • 名古屋の中心部から周辺部にかけては、築年数の幅が広いオフィスビルが混在しています。当時の設計は「1人1台のパソコンと蛍光灯」を前提にしていることも多く、複合機・電子レンジ・大型モニター・NASが並ぶ今の使い方とは前提が違う。ケースによりますが、建物側の想定と現状のズレが原因になっている例は少なくありません。

この記事の結論

一言で言うと、ブレーカー対策の本質は「電気を減らすこと」ではなく「系統を分けること」です。使う量が同じでも、負荷を別の回路に振り分ければ落ちなくなるケースは多い。まず配分を疑ってください。

最も重要なのは、落ちる前に現状を数字で把握しておくことです。回路数、1回路の容量、そこにつながっている機器の消費電力。この棚卸しがないまま業者に相談しても、話が「とりあえず増設しましょう」で終わってしまいます。

失敗しないためには、調査と工事の線引きをはっきりさせることです。分電盤を見て記録する、機器のラベルを控える、ここまでは自社でできます。ただし配線や回路の増設は電気工事士法で有資格者の作業と定められています。自己判断で手を出さない。ここは例外なしです。


ブレーカーが落ちるたびに、何から手をつければいいか分からなくなる

担当者はまず「犯人探し」から始めてしまう

落ちた直後、多くの担当者が最初にやるのは原因機器の特定です。電子レンジか、それとも新しく入れた複合機か。順番に電源を切って、落ちなくなったものを犯人にする。

気持ちは分かります。ただ、この方法では「最後にスイッチを入れた機器」が悪者になるだけで、本当の原因である回路の偏りは見えません。実は、犯人とされた電子レンジ単体は何も悪くない、という状況がほとんどです。

よくあるのが、原因を突き止めたつもりで「この時間帯はレンジ禁止」という運用ルールを作ってしまうパターン。根本は残ったままなので、翌年の夏にまた同じことが起きます。

現場からは「使うなと言うのか」という声が出る

対策として使用制限をかけると、必ず反発が返ってきます。昼にレンジが使えない、暖房を強められない、席で電気ケトルが使えない。総務としては安全のための措置でも、現場には不便としてしか届きません。

ここで担当者は板挟みになります。上には「工事にいくらかかるのか」と聞かれ、下からは「不便だ」と言われる。しかも自分は電気の専門家ではない。何をどう説明すれば納得してもらえるのか、言葉が見つからない。

この状態が長引くと、対策そのものが止まります。誰も悪くないのに前に進まない。電源容量の相談で最も多いのは、実はこの停滞の相談です。

一番こわいのは、サーバーやネットワーク機器が道連れで落ちること

ブレーカーが落ちて困るのは、照明やレンジではありません。サーバー、NAS、ルーター、スイッチングハブ、電話交換機。これらが不意に電源を失うことです。

パソコンは再起動すれば戻ります。しかしサーバーやNASは、書き込みの途中で電源が切れればデータが壊れる可能性がある。ネットワーク機器が落ちれば、拠点間の通信も止まります。

「業務が5分止まった」で済むか、「復旧に半日かかった」になるかは、たまたま何がその回路につながっていたかで決まる。つまり運任せです。この状態を放置していることが、本当のリスクだと考えてください。


電源容量を判断する3つの基準

基準1:分電盤を開いて、回路の数と1回路の容量を確認する

分電盤とは、建物に入ってきた電気を各エリアへ分ける箱のことです。壁に付いている、スイッチがずらりと並んだ金属の扉を思い浮かべてください。

見るべきは3種類。主幹ブレーカー(全体の入口・一番大きいもの)、漏電ブレーカー(漏電を検知して切るもの)、分岐ブレーカー(各回路へ配るもの)です。分岐ブレーカーの数がそのまま「系統の数」になります。

一般的な事務所の分岐回路は15アンペアや20アンペアで組まれていることが多く、100ボルトなら概ね1,500ワット前後、2,000ワット前後が上限の目安になります。ただし建物や設計によって異なるため、必ず現物の表示を確認してください。扉の裏に「事務室A」「給湯室」といった系統表が貼ってあれば、それが最大の手がかりです。

基準2:機器の消費電力を合計し、回路の8割に収まっているか見る

次に、その回路につながっている機器のワット数を足します。数字は機器の背面や底面のラベル、または取扱説明書に書かれています。

目安として押さえておきたいのは、消費電力の大きい機器です。電子レンジは1,000ワットを超えるものが珍しくありません。電気ケトル、電気ストーブ、コーヒーメーカーも同じ帯です。複合機は待機時こそ小さいものの、印刷開始や定着時に大きく跳ね上がる特性があります。一方でノートパソコンやモニターは、1台あたりで見れば小さい。

そのうえで、合計が回路上限の8割程度に収まっているかを見ます。常に上限ぎりぎりで使うのは安全側とは言えません。ケースによりますが、余裕を2割ほど残す前提で配分すると、突発的な立ち上がり電流にも耐えやすくなります。

基準3:合計ではなく「同時に使う時間帯」で考える

見落としやすいのが時間軸です。合計ワット数だけを見ても、実際に落ちるかどうかは分かりません。問題になるのは、同じ瞬間に何が動いているかです。

典型が夏の昼どき。空調がフル稼働し、電子レンジが回り、その裏で複合機が一斉に印刷を始める。1台ずつなら問題なくても、重なった瞬間だけ上限を超える。だから「いつも落ちるわけではないのに、たまに落ちる」という分かりにくい症状になります。

もうひとつ、モーターやヒーターを持つ機器は、動き出す瞬間に定格より大きな電流が流れる性質があります。空調の起動時や複合機の定着時がそれにあたります。ラベルの数字どおりに収まっているはずなのに落ちる、という場合はここを疑ってください。

対策を考えるときは、一日のうち最も電気が集中する時間帯を1つ決めて、その時点の合計で判断してください。平均ではなくピークで設計する。これが電源容量の基本的な考え方です。


オフィス環境・名古屋の事情・業者との役割分担

建物の想定と、今の使い方が合っていない

名古屋の栄・伏見・名駅周辺から周辺エリアまで、オフィスビルは築年数の幅が広く、設備の世代もさまざまです。建てられた当時の想定は、今よりずっと機器の少ないオフィスだったかもしれません。

さらに愛知圏は工場や倉庫に併設された事務所も多く、大型の設備と事務エリアが同じ建物に同居しているケースがあります。動力(三相200ボルト)の設備と、事務所の照明・コンセント(単相100ボルト)は別系統ですが、建物全体としての容量は共有しています。

増床や部署の移動を重ねてきた事務所ほど、当初の系統と現在の座席配置がずれています。壁のコンセントは動かせないため、机の位置だけが変わり、結果として一部の壁面に負荷が寄ってしまう。落ちる回路がいつも同じなら、まずその周辺の配置を疑ってください。

多拠点を管理している場合はもう一段やっかいです。拠点ごとに建物も配線も違うため、本社で通用した対策が支店では通用しない。実は、拠点ごとに分電盤の写真と系統表を残しておくだけでも、後の判断がかなり楽になります。

タコ足配線は「容量」だけでなく「発熱」の問題を抱える

電源タップから電源タップへつなぐ、いわゆるタコ足配線。これは容量オーバーの原因になるだけでなく、それ自体が発熱の危険をともないます。

タップにも定格があります。1,500ワットまで、といった表示です。ここを超えれば、ブレーカーが落ちる前にタップやコードのほうが熱を持つ。机の下で束ねられ、書類やダンボールに埋もれていれば熱の逃げ場もありません。

加えて、コンセントとプラグの間にホコリと湿気がたまって発火するトラッキング現象もあります。デスク裏の抜き差ししない差込口は、点検の対象から外れがちです。年に一度でいいので、抜いて拭く。これは自社でできる、費用ゼロの対策です。

どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

線引きははっきりしています。自社でやってよいのは「調べて記録すること」までです。

具体的には、分電盤の系統表を写真に撮る、分岐ブレーカーの数とアンペア表示を控える、機器のラベルから消費電力を書き出す、どのコンセントに何がつながっているかを図にする。ここまでは資格も工具も要りません。そして、この資料があるかないかで、業者に相談したときの話の進み方が大きく変わります。

一方、コンセントの増設、回路の分割、専用回路の新設、分電盤の交換、幹線の増強。これらはすべて電気工事士法にもとづく有資格者の作業です。DIYでの配線工事は法令違反になるだけでなく、火災や感電に直結します。市販の延長コードを買い足して「なんとかする」のも、容量の問題を先送りするだけで解決にはなりません。電源容量の話は、必ず途中から専門業者へ渡す前提で考えてください。なお法令や技術基準は改正されることがあるため、最新の要件は所管省庁や公式情報で確認することをおすすめします。


こういうオフィスは今すぐ電源の棚卸しをすべき

  • 夏か冬の特定の時間帯にだけブレーカーが落ちる。季節性がある時点で、空調と他の負荷が同じ回路で競合している可能性が高い状態です。
  • サーバー、NAS、ルーター、電話交換機が、どの回路につながっているか誰も把握していない。落ちたときの影響範囲が読めません。
  • 机の下やOA機器の裏で、電源タップが数珠つなぎになっている。容量と発熱の両方でリスクを抱えています。
  • 直近1〜2年でパソコンや複合機、モニターを増やしたが、電源側は当時のまま何も変えていない。
  • 分電盤の扉裏にある系統表が古いまま、または空欄になっていて、どのブレーカーがどの部屋か分からない。
  • レイアウト変更や増床、フリーアドレス化を検討している。工事の計画段階なら、電源の見直しを同時に進めるのが最も無駄がありません。

ひとつでも当てはまるなら、まずは調べるところから始めてください。棚卸しの段階では費用はかかりません。そのうえで足りないと分かったときに、初めて工事の話をすればいい。順番を逆にすると、必要のない増設に費用を払うことになります。


よくある質問

Q1. ブレーカーが落ちたら、すぐ上げ直しても大丈夫ですか。

まず原因と思われる機器の電源を切ってから戻してください。原因を残したまま上げ直すと、同じことを繰り返します。頻繁に落ちる、焦げたにおいがする、ブレーカーやコンセントが熱を持っているといった場合は、上げ直さずに専門業者へ連絡してください。

Q2. 契約アンペアを上げれば解決しますか。

解決する場合としない場合があります。建物全体の主幹が足りていないなら効果がありますが、特定の1回路に負荷が集中しているだけなら、契約を上げても同じ回路は落ちます。まず落ちているのが主幹か分岐か、どちらのブレーカーかを確認してください。

Q3. 専用回路とは何ですか。

1台の機器だけのために引く、他と共有しない回路のことです。消費電力が大きい機器や、止まると影響の大きい機器に使います。サーバーや複合機、大型の空調などが対象になりやすいと考えてください。ほかの機器の使い方に左右されなくなるのが最大の利点です。

Q4. UPS(無停電電源装置)を入れれば落ちなくなりますか。

なりません。UPSは停電時に短時間だけ電気を供給し、安全に機器を止めるための装置です。容量不足そのものは解決しません。ただし落ちたときにサーバーのデータを守る手段としては有効なので、容量対策と併せて検討する価値はあります。

Q5. 工事はどのくらいの期間がかかりますか。

規模によります。既存の分電盤に空きがあり、回路を1つ増やすだけなら短時間で済むこともありますし、幹線から見直す場合は建物の管理側との調整が必要になります。ケースによりますが、テナントビルでは管理会社への申請期間も見ておいてください。

Q6. 賃貸オフィスでも電源工事はできますか。

建物の所有者や管理会社の許可が前提になります。共用部の設備に関わる工事は特に確認が必要です。まず賃貸借契約と管理規約を確認し、そのうえで業者に現地を見てもらう流れが安全です。

Q7. 自分でコンセントを増設してもいいですか。

いけません。屋内配線に関わる工事は電気工事士法で有資格者の作業と定められています。無資格での施工は法令違反にあたり、火災や感電の危険もあります。延長コードで代用するのも容量の問題を先送りするだけなので、必ず有資格の業者へ依頼してください。


まとめ

ブレーカーが落ちるという現象は、故障のサインではなく設計と使い方のズレのサインです。機器を疑う前に、回路を疑う。ここが出発点になります。

やるべきことは順番が決まっています。分電盤で回路の数と容量を確認する。つながっている機器の消費電力を書き出す。最も電気が集中する時間帯のピークで合計を見る。この3つで、足りていないのか、偏っているだけなのかが判別できます。

そして偏りが原因なら、系統を分けるだけで解決することも珍しくありません。足りていないなら、専用回路の新設や回路の増設といった工事の検討に進みます。いずれにせよ、配線に関わる作業は有資格者の領域です。調べるところまでを自社で、そこから先は専門業者へ。この線引きを守れば、安全性も費用の妥当性も両立できます。

正直なところ、電源容量は「困ってから考える」テーマになりがちです。しかしサーバーが道連れで落ちた日の損失を思えば、先に手を打つほうが確実に安く済む。まずは分電盤の扉を開けて、系統表を1枚写真に撮るところから。あなたのオフィスは、どの回路に何がつながっているか説明できますか。



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