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小規模でも作れる問い合わせ窓口|コールセンター立ち上げの進め方

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数席規模の電話窓口をゼロから立ち上げるとき、何を用意し、どこまで自社でやるべきかを判断する方法を解説します。

コールセンターは、大きな部屋と何十席もの設備がなければ作れないものではありません。三席でも五席でも成立します。

必要なのは席数ではなく、着信をどう振り分け、誰が出て、何を記録し、どの数字で良し悪しを判断するかという決めごとです。逆に言えば、この決めごとが抜けたまま電話機だけ増やしても、窓口としては機能しません。

正直なところ、「問い合わせ窓口を作ることになった」と言われた時点で、何から手をつければいいか分からないという相談はとても多いです。設備の話なのか、人の話なのか、業務フローの話なのか、境目が見えないからです。


この記事のポイント

  • 小規模な問い合わせ窓口に最低限必要なものは、回線と番号、着信の振り分け(ACD)、ヘッドセット、通話録音、応対マニュアル、そして応答率と放棄呼を中心としたKPIの六つです。どれか一つでも欠けると、電話は鳴っているのに誰も責任を持って出ない状態が起きます。設備より先に、この六つを紙に書き出すところから始めるのが近道です。
  • 内製と外部委託は「どちらが優れているか」ではなく、受ける用件の中身で分かれます。商品知識や社内システムの参照が必要な用件は内製、一次受けと定型案内が中心なら外部委託が向きます。両方を混ぜて、一次受けだけ委託し、専門的な内容だけ社内へ転送する形も現実的な選択肢です。
  • 名古屋・愛知圏では、築年数の経ったオフィスビルに小さく入居しているケースや、本社と工場・倉庫が離れている多拠点のケースがよくあります。電話の設計以前に、そのフロアに引ける回線の種類、情報コンセントの数、電源容量が足りるかで選択肢が変わるため、物件側の条件確認を先に済ませておくと手戻りが減ります。

この記事の結論

一言で言うと、小規模なコールセンターの立ち上げは「設備の調達」ではなく「受け方のルール決め」です。番号を用意して電話機を並べることは、実のところ全体の一部でしかありません。誰が一次で受け、出られなかった呼をどう拾い、どの記録を残すのかを決めて初めて、窓口という形になります。

最も重要なのは、立ち上げの前に測る数字を決めておくことです。応答率と放棄呼、この二つだけでも構いません。数字がないと、席を増やすべきなのか、時間帯の配置を変えるべきなのか、そもそも電話以外の受付手段を用意すべきなのか、誰も判断できません。感覚で「最近忙しい」と言い合う会議が続くだけです。

失敗しないためには、最初から完成形を目指さないことです。ケースによりますが、二席から三席で始めて、三か月ほど数字を見ながら振り分けのルールと人員配置を調整していく進め方が、結果的に無駄な投資を減らします。設備は後から足せますが、いったん現場に定着した運用ルールを変えるほうが、はるかに手間がかかります。


「窓口を作れ」と言われたものの、何から手をつければいいか分からない

担当者がまず動き出すのは、たいてい機器の見積もりから

窓口の新設が決まると、多くの担当者はまず電話機とヘッドセットの見積もりを取りに行きます。形のあるものから手をつけるのは自然な流れです。上司に進捗を報告しやすいという事情もあります。

ただ、ここでつまずくことが多いのも事実です。依頼された側は、何席で、どの番号に、どんな用件が一日何件入るのかが分からないと構成を決められません。結果として「まず要件を教えてください」と返され、担当者は振り出しに戻ります。

先に決めるべきは、受ける用件の種類と、受付時間、そして席数の目安です。この三つが決まれば、必要な回線数も、振り分けの仕組みも、おおよその方向が定まります。

現場から出てくるのは「今のままで何が困るのか」という声

窓口の新設を社内に伝えると、必ずと言っていいほど「今も電話は受けている。何が変わるのか」という反応が出ます。既に代表番号で受けて、担当者に取り次いでいるからです。

実は、この反応こそが窓口を作る理由そのものであることが少なくありません。代表番号での取次ぎは、出た人の判断に依存します。誰が何件受けたのか、何件取りこぼしたのか、どんな内容だったのかが、どこにも残りません。担当者が席を外していれば、折り返しの約束だけが積み上がります。

よくあるのが、「電話が多くて大変」という声はあるのに、実際の件数を誰も把握していないという状態です。窓口を作る本当の目的は、電話を受ける場所を変えることではなく、受けた事実を数えられるようにすることだと考えると、社内への説明もしやすくなります。

「大がかりな設備投資になるのでは」という警戒心

もう一つ担当者を止めるのが、費用への不安です。専用の部屋、大型のシステム、常駐の管理者といった大がかりな絵を思い浮かべてしまい、上に説明する前から腰が引けてしまう。この戸惑いは多くの方が抱えています。

規模による、というのが正直な答えです。数席であれば、既存のビジネスフォンやクラウド型の仕組みに機能を追加する形で組めることもありますし、新しく作るケースもあります。どちらになるかは、今の電話設備の世代と増設の余地で変わります。

不安を減らす手順は決まっています。電話設備の構成、契約している回線の種類と本数、社内ネットワークの状況を書き出す。この棚卸しをしてから相談すれば、選択肢は具体的な形で返ってきます。漠然としたまま相談すると、返ってくる答えも漠然とします。


小規模な問い合わせ窓口を設計する三つの判断基準

基準1:何席で、どの用件を、どの番号で受けるか

最初に決めるのは席数と用件です。同時に何本の電話が鳴り得るかを見積もり、その数に耐えられる回線と番号を用意します。ここで言う席とは、同時に応対できる人の数のことで、在籍人数とは別物です。四人いても、常時電話に出られるのが二人なら二席です。

番号は、代表番号をそのまま使うか、窓口専用の番号を新しく取るかで分かれます。専用番号なら、何件がその窓口宛だったかがはっきりし、後から効果を測りやすくなります。一方で、名刺やウェブサイト、既存の案内物をどこまで差し替えるかという手間が出ます。

受付時間もこの段階で決めます。時間外の電話をどう扱うか。自動音声で案内するのか、留守番機能で伝言を受けるのか、受付フォームへ誘導するのか。ここを後回しにすると、開設直後から取りこぼしが出ます。

基準2:着信の振り分け(ACD)と通話録音をどう組むか

ACDとは、かかってきた電話を空いている席へ自動的に振り分ける仕組みのことです。全席が一斉に鳴る単純な設定と比べて、特定の人にだけ負荷が集中するのを防げます。呼び出しの順番を「均等に回す」「手が空いている時間が長い人から」といった形で選べるものもあります。

数席でも、この振り分けは入れておく価値があります。人は鳴っている電話を取る速さに差があるからです。振り分けがないと、いつも同じ人が最初に取り、その人だけが疲弊します。偏りが数字として見えないまま、退職や配置転換の理由になることすらあります。

通話録音は、言った言わないを防ぐ目的で語られがちですが、実務上の価値はむしろ教育にあります。新しく入った人が、実際の応対を聞いて学べる。ただし録音する以上は、録音している旨の伝え方、保存先と保存期間、聞ける人の範囲を先に決めておく必要があります。個人情報の取り扱いに関わりますので、自社の規程と最新の法令・ガイドラインを必ず確認してください。

そして、振り分けと録音を入れたら、そこから取れる数字をKPIとして使います。応答率は、かかってきた呼のうち実際に応対できた割合。放棄呼は、応対する前に切られてしまった呼です。この二つに平均応答速度を足せば、小規模な窓口の状態はおおむね把握できます。目標値をいきなり高く置く必要はありません。

基準3:ネットワークが音声に耐えられるか

電話がIP化されている構成では、音声は社内ネットワークとインターネット回線を通ります。つまり、電話の品質はネットワークの品質そのものです。ここを確認しないまま席だけ増やすと、開設後に「声が途切れる」「相手の声が遅れて聞こえる」といった不具合が出てきます。

見るべきは帯域だけではありません。一本の通話が使う帯域は一般に大きなものではなく、数席分で足りなくなるケースは多くありません。問題になりやすいのは、大容量のファイル転送やクラウドへのバックアップ、ウェブ会議が同時に走ったときに、音声のパケットが後回しになることです。

そこで使うのが、音声を優先的に通す設計です。機器の設定で音声の通信を優先扱いにする、業務データと音声を別のネットワークに分ける、といった方法があります。既存のスイッチやルーターが対応しているかで採れる手が変わるため、型番を控えて確認するのが確実です。加えて、席は有線で接続するのが基本です。無線でも通話はできますが、電波の混雑の影響を受けやすく、原因の切り分けが難しくなります。


部屋・立地・業者との役割分担をどう決めるか

座席レイアウトと騒音対策は、机を買う前に決める

音の問題は、後から直すのが最もやっかいです。隣の席の声が受話器に入る、応対の声がフロアに響く、逆に周囲の会話で相手の声が聞き取りにくい。どれも開設してから気づきます。

対策は難しくありません。席の間に吸音性のあるパネルを立てる、背中合わせではなく向きを揃える、両耳を覆うタイプのヘッドセットを選ぶ、マイクは口元に近づけられるブームタイプにする。この程度でも体感は変わります。フロアの一角を使う場合は、出入口や複合機のそばを避けるだけでも違います。

同時に決めておきたいのが、電源と情報コンセントの位置です。席の数だけLANの口が要り、一席あたりの電源口も想像より多く必要になります。什器を配置してから配線を考えると、養生テープで留めた配線が通路を横切る、という残念な形になりがちです。

名古屋のオフィス事情で、先に確かめておきたいこと

名古屋市内の中小規模のオフィスビルには、築年数を重ねた物件が少なくありません。こうしたビルでは、フロアに引き込める回線の種類や配管の余裕が、そのまま選択肢の幅になります。入居前や増床前に管理会社へ確認しておくと安心です。

もう一つ、愛知県内は本社が市内にあり、工場や倉庫、支店が郊外に分かれている構成が珍しくありません。窓口を本社に置くか、拠点ごとに受けるかで設計は変わります。拠点間で内線をつなぐのか、一本化して社内で転送するのか。この方針は設備を選ぶ前に経営層と握っておきたいところです。

工事の時間帯にも制約が出ます。テナントビルでは、平日日中の作業が難しかったり、共用部の作業に申請が要ったりします。日程は物件側の都合で動く前提で、開設日から逆算して余裕を持たせてください。なお、電気通信設備や電気の工事は有資格者による施工が必要な範囲がありますので、自社での作業範囲は事前の確認が要ります。

どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

分岐の目安ははっきりしています。社内システムを見ながら答える用件、商品や技術の知識が要る用件、金額や納期の判断が絡む用件は、内製が向きます。外部に出しても結局は社内へ転送することになり、二度手間になるからです。

反対に、受付時間の案内、住所や在庫の確認、資料請求の受付といった定型的な一次対応は、外部委託の効果が出やすい領域です。夜間や休日、繁忙期だけ委託するという部分的な使い方もあります。委託する場合は、どこまでを委託先が答え、どこから自社へ渡すかの線引きと、渡すときの情報の形式を最初に決めておくことが肝心です。

応対マニュアルは、内製でも委託でも自社で作ります。委託先に丸投げしても、自社の商品や社内の事情は書けないからです。分厚いものは要りません。よくある問い合わせの上位十件と、その答え、答えられないときの引き継ぎ先。この一枚から始めて、録音を聞きながら追記していく形が続きます。

設備面では、回線の手配、機器の設定、ネットワークの設計と工事は外部へ。用件の整理、マニュアル、人の配置、数字を見る役は社内で持つ。この分け方が収まりの良い形です。


こういう会社は今すぐ問い合わせ窓口の設計に着手すべき

  • 代表番号にかかってきた電話を、手が空いている人が順に取っている。誰が何件受けたか記録がなく、取りこぼしの数も分からない状態が続いている。
  • 特定の担当者に電話が集中していて、その人が休むと業務が回らない。属人化していることは分かっているが、手を打てていない。
  • 折り返し対応の約束が守られず、二度目の電話でお叱りを受けることがある。伝言の伝達がメモや口頭に依存している。
  • 新商品の発売やキャンペーン、繁忙期など、時期によって電話が急増する見込みがある。増える前提で受け方を決めておきたい。
  • 事務所の移転、増床、レイアウト変更の予定がある。配線や電源を触るタイミングが目の前にある。
  • 既存のビジネスフォンが古く、保守部品の供給や増設に不安がある。どのみち更新を検討する必要がある。

一つでも当てはまるなら、いま決めておくほうが安く済みます。移転や機器更新と一緒に設計すれば、工事も一度で済み、現場の混乱も一回で終わります。開設してから振り分けや配線をやり直すのは、費用よりも現場の負担が重くのしかかります。


よくある質問

Q1. 三席程度でもコールセンターと呼べる仕組みは作れますか。

作れます。席数は定義ではありません。着信の振り分け、通話の記録、応対のルール、測る数字が揃っていれば、規模が小さくても窓口として機能します。むしろ小規模なほうが、運用ルールの浸透は早く進みます。

Q2. 既存のビジネスフォンを活かせますか、それとも入れ替えが必要ですか。

ケースによりますが、主装置の世代と増設の余地次第です。振り分けや録音の機能を後付けできる構成なら活かせますし、保守期限が近い、内線数の上限に達しているという場合は入れ替えを含めて検討することになります。まず現在の型番と契約内容を確認するところからです。

Q3. 通話録音は全部の通話を録るべきでしょうか。

基本は全通話を対象にしたほうが運用は楽です。録る録らないを都度判断させると、必要な通話ほど残っていないという事態になりがちだからです。ただし、録音の告知、保存期間、閲覧できる人の範囲は必ず決めてください。個人情報の取り扱いに関わるため、最新の法令やガイドラインの確認が必要です。

Q4. KPIは何から見始めればいいですか。

応答率と放棄呼の二つで十分です。応答率はかかってきた呼のうち応対できた割合、放棄呼は応対前に切られた呼です。まず一か月から三か月の実測を取り、時間帯別に並べると、人を増やすべき時間帯なのか、全体的に足りないのかが見えてきます。

Q5. 外部委託と内製、費用面ではどちらが有利ですか。

一概には言えません。件数が読めず、繁忙の波が大きいなら委託が有利に働きやすく、件数が安定していて専門知識が要るなら内製のほうが総額を抑えやすい傾向があります。人件費、設備費、教育にかかる時間まで含めて比べることが大切です。

Q6. 在宅で電話を受ける形にはできますか。

技術的には可能です。クラウド型の仕組みを使えば、自宅からでも会社の番号で受発信ができます。ただし自宅側のネットワーク品質、周囲の音、録音や個人情報の管理という別の課題が出てきます。まずオフィスで運用を固め、それから在宅を足す順序をおすすめします。

Q7. 立ち上げまでどれくらいの期間を見ておくべきですか。

規模と工事の有無で幅がありますが、回線の手配や工事の日程調整に時間がかかることが多く、開設日から余裕をもって逆算するのが安全です。特にテナントビルでは、管理会社の承認や作業可能な時間帯の制約が日程を左右します。設備よりも、マニュアル作成と人の教育に時間を取っておくと安心です。


まとめ

小規模な問い合わせ窓口の立ち上げは、設備の買い物ではなく、受け方の設計です。回線と番号、振り分け、ヘッドセット、通話録音、マニュアル、KPI。この六つを紙に書き出せた時点で、半分は終わっています。

内製と外部委託は、優劣ではなく用件の中身で決まります。社内システムや専門知識が絡むなら内製、定型的な一次受けなら委託。両方を組み合わせ、一次受けだけ外に出すという選択も十分に現実的です。

環境面では、音と配線と回線が三つの壁になります。座席のレイアウトと騒音対策は机を買う前に、電源と情報コンセントは什器を並べる前に、ネットワークの音声優先設計は開設前に。順番を守るだけで、後戻りの多くは避けられます。名古屋や愛知圏では、ビルの条件と多拠点の事情が選択肢を左右しますので、物件側の確認を早めに済ませておくと動きやすくなります。

完璧な窓口を最初から作る必要はありません。二席か三席で始めて、数字を見ながら整えていけば十分です。あなたの会社では、いま代表番号にかかってくる電話が一日何件あるか、答えられますか。まず、その一件を数えるところから始めてみませんか。



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