
口コミに「Wi-Fiが遅い」「部屋でつながらない」と書かれた。旅館やホテル、民泊のWi-Fiはどこから直せばいいのか
宿泊施設のWi-Fiの苦情は、多くが客室まで電波が届いていないことが原因です。回線の契約を上げても、客室の奥や離れで弱いままなら口コミは変わりません。見直す順番は「どこで遅いか」「何人が同時に使うか」「誰が管理するか」の3つ。この3つを確かめれば、機器の追加で済むのか、配線からやり直すべきかはほぼ判断できます。
予約サイトの管理画面を開くと、新しい口コミが1件。料理や接客には満足と書いてあるのに、最後の一文が「Wi-Fiが弱くて仕事ができなかった」。評価の星が一つ減っている。フロントのスタッフに聞くと、似たことを言われたのは今月2回目だという。
「光回線にしてあるのに、なんで遅いって言われるんだろう」
「全部屋に機械を付けるなんて、どれくらいの工事になるのか見当もつかない」
「業者に頼んで、本当に口コミが変わるのか」
迷いやすいのは、自分で確かめにくいからです。スタッフが使うロビーやフロントでは快適につながり、問題が起きるのは宿泊客がくつろぐ夜の客室。そこを確かめる機会がほとんどありません。この記事では、名古屋で電気通信工事とICTソリューションを手がけ、不特定多数の人が使う場所の無線環境も業務としている立場から、苦情の原因、改善の進め方、業者を比べる基準を整理します。
【この記事のポイント】
- 「遅い」の正体は、回線速度より客室までの電波不足や同時接続の集中であることが多い
- 夜の時間帯に、客室の奥で実際に測ることが改善の出発点
- 業者比較では、施工後に客室ごとの測定結果を出してくれるかを確認する
この記事の結論
- 一言で言うと、宿泊施設のWi-Fiは「ロビーの速さ」ではなく「夜の客室の速さ」で判断する
- 最も重要なのは、苦情の出た部屋と時間帯を記録し、原因を切り分けること
- 失敗しないためには、客室数と同時接続数に見合ったアクセスポイントの配置を設計してもらうこと
- 1社で即決せず、2〜3社に同じ条件で見積もりを依頼して比較するのが納得への近道
旅館や小規模ホテルでWi-Fiの口コミが悪くなる3つの原因
ロビーのルーター1台で、客室まで届かせようとしている
正直なところ、宿泊施設のWi-Fiの苦情は、機器の数そのものが足りないことから来ている場合がほとんどです。フロント裏に置いた1台のルーターで館内全体をまかなおうとしても、廊下の突き当たりや2階の奥の客室では電波が弱くなります。
旅館の場合は、さらに条件が厳しくなります。土壁や襖、厚い床、離れや別館。和室の奥の広縁でノートパソコンを開いた宿泊客が「電波が1本しかない」と感じるのは、こうした構造のためです。中継機を足して届かせている建物もありますが、中継機は親機と同じ電波を使って中継するため、段を重ねるほど速度が落ちやすくなります。
スタッフが使う範囲で不便がないと、この状態は気づかれません。チェックインのないタイミングに、実際に客室へ入って測ってみるのが確実です。
夕食後の時間帯に、同時接続が集中する
よくあるのが、チェックイン直後や夕食後に一気に遅くなるパターンです。宿泊客1人がスマホ・タブレット・パソコンと2〜3台をつなぎ、動画配信やビデオ会議を同じ時間に使う。満室なら、客室数の2〜3倍の端末が同時につながることも珍しくありません。
アクセスポイントは、電波が届く範囲だけでなく、同時に相手をできる端末数にも限りがあります。だから「1台で広く届かせる」より「複数台で台数を分け合う」方が、結果として快適になることが多いのです。ケースによりますが、客室数が増えるほど「電波が届くか」に加えて「台数を分散できるか」が重要になります。
苦情を切り分けるときは、部屋番号と時刻を控えてください。同じ部屋に偏るなら電波不足、同じ時間帯に偏るなら同時接続の集中が疑われます。
民泊やゲストハウスでは、家庭用ルーターのまま運営している
実は、小規模な施設ほど「家庭と同じ機器で足りる」と思われがちです。ところが、建物が古い木造の戸建てだと、1階に置いたルーターの電波が2階の寝室まで届かないことがあります。押し入れや水回りを挟むと、さらに弱くなります。
宿泊先の無料Wi-Fiは、旅行者にとって関心の高い設備です。観光庁なども訪日外国人旅行者向けの調査や、通信環境に関する情報を公開しています。調査の内容は年によって変わるため、詳しくは公式サイトで確認してください。ゲストからの問い合わせが繰り返されるなら、パスワードの案内の仕方ではなく、電波の届き方を疑う段階に来ています。
改善方法を選ぶときの判断基準と、進め方
業者比較にも使える判断基準5つと、改善方法の比較表
宿泊施設のWi-Fiを見直すとき、そして業者の提案を比べるときに使える基準は次の5つです。
- 測る場所と時間:苦情の出た客室で、夜の時間帯に速度を測っているか
- 同時接続数:満室時に何台つながるかを前提に設計しているか
- 分離とセキュリティ:宿泊客用と業務用(予約管理・決済)を分けているか
- 管理のしやすさ:障害時にどこが止まっているか、遠隔で確認できるか
- 記録:施工後の客室ごとの測定結果と、機器の配置図が残るか
改善方法ごとの違いは次のとおりです。費用は建物の構造、客室数、配線ルートによって大きく変わるため、現地調査のうえでの見積もりで確認してください。
| 改善方法 | 仕組み | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 中継機を追加 | 親機の電波を受けて中継する | 弱い場所が1か所だけ/まず試したい | 段を重ねるほど速度が落ちる/台数が増えると不安定 |
| メッシュWi-Fi製品を導入 | 複数の機器が連携して1つの電波網を作る | 戸建ての民泊や数室規模の施設 | 客室数が多い施設では台数が足りなくなりやすい |
| 業務用APを配線して設置 | 各APへ有線を引き、設計して配置する | 客室数が多い/満室時の同時接続を支えたい | 配線工事が必要/設計の根拠を説明してもらう |
| 提供サービスを利用する | 機器と保守をまとめて借りて使う | 初期の持ち出しを抑えたい | 長期の総額と解約条件/対応の範囲がどこまでか |
民泊や数室規模のゲストハウスなら、メッシュWi-Fiで十分に改善することも多くあります。一方、客室数が多い旅館やホテルでは、配線した業務用APでないと満室時に追いつかないことが少なくありません。
なお、総務省は公衆向けにWi-Fiを提供する事業者向けに、セキュリティ対策の手引きを公開しています。宿泊客用と業務用を分けることや、機器の管理画面のパスワードを変えることなど、基本的な考え方の確認に役立ちます。内容は改訂されるため、公式サイトで最新のものを確認してください。
決める前にそろえる材料と、確認する順番
相談の前に手元の情報を整理しておくと、各社の提案を見比べやすくなります。そろえるのは次の材料です。
- 苦情の記録:部屋番号、日付、時間帯、「遅い」か「つながらない」か
- 建物の情報:客室数、階数、構造(木造か鉄筋か)、別館や離れの有無
- 今の機器:ルーターや中継機の台数・設置場所・型番、回線の契約
- 同時接続の想定:満室時の宿泊人数と、1人あたりの端末数
- 工事できる時期:客室を止められる閑散期や曜日
確認の順番はこうです。まずロビーと客室の両方で速度を測り、差を見る。次に、苦情が部屋に偏るか時間帯に偏るかを見る。そのうえで、宿泊客用と業務用が分かれているかを確認する。最後に、工事できる時期を決める。この順番なら、機器を買い足す前に原因の見当がつきます。
図面が見当たらない、前の業者と連絡が取れない。そうした状態でも、事前に調べたうえで対応を組み立てる進め方があります。分からない項目は、そのまま伝えて構いません。
業者を比べるときに見ておきたい3点
同じ条件を伝えても、提案の中身は会社によって差が出ます。次の3点をそろえて聞くと、比較の軸が定まります。
- 苦情の出た客室で、夜の時間帯に実際に測ってくれるか
- 全室設置が必要かどうかを、測った数字をもとに説明してくれるか
- 施工後に、客室ごとの測定結果と配置図を渡してくれるか
この3点がそろっていれば、どの会社でも任せる判断はしやすくなります。他社と比べるときのチェックリストとして使ってください。
コムネットワークの施工事例には、Wi-Fi SPOTの設置や広域Wi-Fiエリアの構築、イベント用の無線環境など、不特定多数の人が使う場所の案件が含まれます。アクセスポイントの設置は大規模な案件にも対応しており、設計・構築から運用保守までをワンストップで手がけています。全国の協力会社と連携しているため、観光地の施設でもご相談いただけます。
見積もりを取ったら依頼しなければならない、ということはありません。「うちは中継機を足すだけで済むのか」という確認だけでも歓迎です。
- お電話:052-533-0331(名古屋市中村区名駅南)
- お問い合わせフォーム:当サイトのCONTACTページから
よくある質問
Q1. 光回線を速いプランに変えれば改善しますか?
A1. 客室まで電波が届いていない場合は改善しません。まずロビーと客室で速度を測り、差が大きければ館内の電波が原因です。
Q2. 何室にアクセスポイント1台が必要ですか?
A2. 一律の答えはありません。壁の材質、客室の配置、満室時の端末数で変わるため、事前の調査をもとに決めてください。
Q3. 民泊ならメッシュWi-Fiで足りますか?
A3. 戸建てや数室規模なら足りることが多いです。客室数が多い場合や鉄筋の建物では、配線した業務用APを検討してください。
Q4. 宿泊客用と業務用のWi-Fiは分けるべきですか?
A4. 分けるべきです。予約管理や決済の端末と同じネットワークに宿泊客をつなぐと、情報漏えいや速度低下の原因になります。
Q5. 営業を止めずに工事できますか?
A5. 廊下や天井裏の作業が中心なら、客室を使いながら進められる場合が多くあります。日程は現地調査のうえで相談してください。
Q6. 口コミの苦情はどうやって切り分ければいいですか?
A6. 苦情の出た客室名と時間帯を記録してください。同じ部屋なら電波不足、同じ時間帯なら同時接続の集中が疑われます。
Q7. 業者は何社くらい比較すべきですか?
A7. 2〜3社が目安です。設置台数と配置、測定の方法、施工後の記録を同じ条件にそろえて比べてください。
まとめ
宿泊施設のWi-Fiの口コミは、回線の速さだけでは変わりません。客室の奥まで電波が届いているか、満室の夜に台数を支えられるか。そこを実際に測り、原因を切り分けることが改善の近道です。
この記事のまとめ:要点3つ
- 苦情の出た客室と時間帯を記録し、夜の客室で速度を測って原因を切り分ける
- 小規模ならメッシュWi-Fi、客室数が多いなら配線した業務用APと、規模で方法を選ぶ
- 業者比較は、測定の方法・台数の根拠・施工後の記録の3点で行う
次に口コミを見るときは、苦情の出た部屋番号を一つメモしてみてください。その情報を持って2〜3社に相談すれば、提案の中身を比べやすくなります。比較先の一つとしてコムネットワークにも声をかけていただければ、大がかりな工事が要らないケースも含めて率直にお伝えします。























