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学習塾・スクールの通信環境|タブレット一斉利用で落ちない設計

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タブレットを一斉に使う教室で通信が止まらないようにするための設計の考え方を解説します。

授業中に通信が落ちる原因は、回線の速さではありません。ほとんどが「同時につながる端末の数」の見積もり違いです。

家庭やオフィスの感覚で機器を選ぶと、教室ではまず足りません。オフィスは人が少しずつ動きますが、教室は号令ひとつで全員が同じ瞬間に同じ教材を読み込みます。負荷のかかり方が根本的に違うのです。

正直なところ、この話は授業が止まってから発覚することが大半です。体験授業の日に限って動画が固まる、定期テスト前の満席の時間帯だけ遅い。そのたびに講師が「今日は調子が悪いみたいです」と生徒に謝る。担当者は何が悪いのか分からないまま、とりあえず再起動を繰り返すことになります。


この記事のポイント

  • 教室の通信は、部屋の広さではなく端末の台数で設計します。「二十畳だからアクセスポイント一台」という考え方が、教室ではいちばん危険です。同じ二十畳でも、生徒が三人の自習室と、四十台のタブレットが一斉に動く一斉授業では、必要な機器の数も置き方もまったく別物になります。まず数えるべきは面積ではなく、最大時に何台がつながるかです。
  • 落ちる瞬間には型があります。授業の開始直後、動画教材の再生開始、小テストの一斉送信、休憩明けの復帰。共通しているのは「全員が同じ数秒に集中する」という点です。平均の通信量で足りていても、この山を越えられなければ体感は「使えない」になります。設計では平均ではなく、この瞬間の山を基準に考えます。
  • 名古屋・愛知では、駅前の雑居ビルの一室と、郊外のロードサイド型の広い教室が混在しています。前者は築年数の古いビルで、壁が厚く、隣のテナントの電波と混み合いやすい。後者は面積が広く、教室を仕切って複数の授業を同時に走らせることが多い。同じ「塾の通信環境」でも、この二つでは打ち手がかなり変わります。

この記事の結論

一言で言うと、教室のネットワークは「最大同時接続数」から逆算して組みます。回線の契約速度をいくら上げても、電波を飛ばす機器が処理しきれなければ授業は止まります。数える対象は生徒用タブレット、講師用の端末、電子黒板や書画カメラ、そして持ち込みのスマートフォンまでです。

最も重要なのは、下り方向の帯域を厚く見ることです。教室で流れる通信の大半は、動画教材や問題データを読み込む「受け取る側」の通信です。上りが必要になるのは提出や録画配信のときに限られます。この向きを取り違えたまま回線を選ぶと、費用のかけどころがずれます。

失敗しないためには、ネットワークを用途で分けることです。生徒用、講師・事務用、保護者や来訪者用。この三つを同じ電波にまとめると、生徒の一斉利用が始まった瞬間に、受付の入退室連絡や決済端末まで巻き添えで遅くなります。


「回線を速いプランに変えたのに、まだ遅い」と言われる

契約プランの変更から手をつけてしまう

よくあるのが、教室が遅いと言われて、まず回線契約を上位プランに切り替えるという動きです。

分かりやすい手なので選びたくなります。ただ、教室で起きている詰まりの多くは、回線と教室のあいだ、つまりアクセスポイントの手前で発生しています。ここが詰まっていると、外の回線をどれだけ太くしても体感は変わりません。

実は、変えた直後は少し良くなったように感じることがあります。機器を再起動するからです。しかし数日で元に戻り、担当者は「お金をかけたのに変わらなかった」という結論だけを抱えることになります。上に報告しづらい、いちばんつらいパターンです。

現場から出るのは「電波が悪い」という一言だけ

講師や事務スタッフから上がってくる情報は、たいてい「電波が悪い」に集約されます。

ここから原因は読み取れません。必要なのは、いつ・どの部屋で・何をしていたときかの三点です。「木曜の十九時、奥の教室で、動画教材を全員が再生した直後」まで書ければ、原因の見当はかなり絞れます。逆に「最近よく落ちる」だけでは、誰も手の打ちようがありません。

講師にネットワークの知識を求める必要はありません。授業の記録に一行だけ、止まった時刻と部屋名を書く欄を足す。それだけで、後から見返したときに時間帯の偏りが見えてきます。

授業中に止まることへの恐怖が、判断を鈍らせる

教室の担当者から多いのが、「触るのが怖い」という相談です。

塾の通信は、止まった瞬間に授業そのものが止まります。しかも目の前には生徒と、月謝を払っている保護者がいます。だから、多少不安定でも今動いているものに手を入れたくない。この心理は無理もありません。

ただ、放置しても負荷は増えます。デジタル教材の比率は上がり、端末は増え、動画の画質も上がる。何から手をつければいいか分からないまま先送りすると、いずれ繁忙期に限界が来ます。手を入れるなら、授業のない曜日や長期休みの前が現実的です。


教室のネットワークを設計する三つの基準

基準1:面積ではなく、同時接続数で数える

出発点は台数です。

アクセスポイントとは、Wi-Fiの電波を飛ばす機器のことです。カタログには「最大接続台数」が書かれていますが、この数字は理論上の上限で、全台が快適に使える数ではありません。ケースによりますが、動画教材のように継続して通信が流れる用途では、表示された数字よりかなり手前で体感が落ち始めると考えたほうが安全です。

数えるときは、最大の日を基準にします。満席の時間帯、講師の人数、電子黒板やプリンタなどの機器、そして持ち込みのスマートフォン。生徒が私物の端末を自動接続するように設定していれば、それも台数に入ります。ここを甘く見積もると、いちばん混む日にだけ落ちる教室ができあがります。

そのうえで、一台のアクセスポイントに集中させず、教室ごとに分けて負荷を散らす発想を持ってください。一台の性能を上げるより、担当する範囲を分けるほうが、教室では効くことが多くあります。

基準2:置き場所と電波の出力を、教室の形に合わせる

次が物理の話です。

電波は、鉄筋コンクリートの壁、金属製のロッカー、ホワイトボードの裏の金属板などで大きく弱まります。よくあるのが、事務室の棚の上に一台だけ置き、その電波を全教室に届かせようとしている構成です。事務室ではつながるのに、いちばん奥の教室だけ切れる。この形はかなりの頻度で見かけます。

高さも効きます。床に近い位置は人の体で電波が遮られます。教室は人の密度が高いので、この影響が特に出やすい。天井付近や壁の高い位置に設置するだけで、体感が変わることがあります。

意外なのが、出力を上げれば良いわけではないという点です。複数のアクセスポイントを置いた教室で全台の出力を最大にすると、電波どうしが重なって干渉し、端末が「どこにつなぐべきか」を迷い続けます。授業中に接続が切れたりつながったりを繰り返す症状は、これが原因のことがあります。適切な出力に抑えて、担当範囲を分ける。ここは設計の勘どころです。

なお、無線機器は国内の技術基準に適合したものを使う必要があり、海外から取り寄せた機器をそのまま使うと電波法上の問題になることがあります。また、配線や電気に関わる工事は内容によって有資格者による施工が求められます。最新の要件は所管省庁や公式情報で確認してください。

基準3:上りより下り、そしてキャッシュとオフライン

三つ目は、通信の向きです。

教室で流れるデータの大半は、外から教室へ入ってくる下り方向です。動画教材の再生、問題データの読み込み、解説画像の表示。生徒側から外へ送る上り方向は、解答の送信や写真の提出など、量としては小さくなりがちです。だから回線を選ぶときは、下りの帯域と安定性を優先します。

ただし例外があります。授業の様子を外部へ配信する、オンライン併用で講師の映像を送る、といった使い方が入る場合は上りが一気に重くなります。この予定があるなら、契約前に伝えておいてください。

そして効果が大きいのに見落とされがちなのが、教材を事前に端末へ入れておく発想です。授業で使う動画や問題を、前日や休憩時間のうちに端末側へ落としておければ、開始直後の山そのものが小さくなります。教材システムがオフライン利用に対応しているかは、提供元に確認する価値があります。回線を太くするより、読み込む量を減らすほうが、費用対効果で勝る場面は少なくありません。


教室の環境と、外部に頼む範囲

生徒用・講師用・保護者用を分ける

ネットワークは用途ごとに分けます。

生徒用は台数が多く、負荷が集中します。講師・事務用は台数こそ少ないものの、出席管理、月謝の処理、成績データなど止まると困る業務が乗ります。保護者や来訪者に開放する電波は、そもそも社内の機器に触れられない状態にしておく必要があります。

分けておけば、生徒の一斉利用が事務業務を巻き込みません。逆に、事務側で大きなファイルを送っても授業に影響しません。同じ機器でも、電波の名前を分けて役割を割り当てる形で実現できることが多く、大がかりな工事なしに整理できる場合もあります。

あわせて、生徒や保護者の情報を扱う端末とネットワークの管理は、個人情報保護の観点でも整理しておきたい部分です。誰がどの電波につないでよいのかを紙一枚にまとめておくだけでも、引き継ぎのときに助かります。

名古屋・愛知の教室で起きやすいこと

名古屋の駅前や栄の周辺では、雑居ビルの一室を教室にしている塾が多く見られます。築年数の古いビルは壁が厚く、部屋の形も細長い。加えて、上下左右のテナントも同じようにWi-Fiを飛ばしているため、電波が混み合いやすい環境です。同じ機器を入れても、郊外より条件が厳しくなります。

一方、郊外のロードサイド型や住宅地の教室は、面積に余裕がある代わりに、可動式のパーティションで教室を仕切って複数授業を同時に走らせるケースが目立ちます。仕切りは電波をあまり遮らないので、隣の教室の電波と重なりやすい。部屋割りと電波の割り当てを合わせて考える必要があります。

多拠点で展開している塾なら、教室ごとに機器がばらばらという状態も起こりがちです。同じ構成にそろえておくと、トラブル時の切り分けが早くなり、増設のときも判断で迷いません。

どこまで自社で見て、どこから外部に頼むか

自社でやるべきなのは、条件の書き出しです。教室の間取り図、部屋ごとの座席数、最大同時接続台数、使っている教材システム、混雑する曜日と時間帯、電子黒板などの機器。これは運営している人にしか書けません。ここが埋まっていない状態で相談しても、話は一般論で終わります。

外部に任せたいのは、電波の実測調査と、機器の選定・設置・設定です。実際に教室で電波を測れば、どこが弱いか、どのチャンネルが混んでいるかが数字で出ます。図面だけでは分からない部分で、ここに専門の手を入れる価値があります。配線や電気に関わる作業も、有資格者による施工が必要な範囲があるため、自社で済ませようとしないでください。

線引きの目安はこうです。「教室で何がどれだけ動くかを書き出す」までが自社、「その条件でどこに何を置くか決めて手を動かす」からが外部。この整理ができていれば、相談の初回で話が具体的なところまで進みます。


こういう教室は今すぐ通信環境を見直すべき

  • 一斉授業でタブレットを二十台以上使うのに、アクセスポイントが教室に一台、または事務室に一台しかない
  • 動画教材の再生を始めた直後だけ、決まって固まる・止まるという症状が出ている
  • 生徒用と事務用で同じWi-Fiを使っており、授業中に出席管理や決済の操作が遅くなることがある
  • 教室を増設した、または座席を増やしたのに、通信機器は当時のまま変えていない
  • 「電波が悪い」という報告は上がるが、いつ・どの部屋でかを記録していない
  • オンライン併用の授業や、授業の録画配信を始める予定があるが、上り方向の帯域を確認していない

ひとつでも当てはまるなら、まずは教室ごとに「最大同時接続台数」を数えて紙に書き出すところから始めてください。機器を買う話ではありません。いま何台つながる想定なのかを見えるようにするだけで、次に何をすべきかがはっきりします。


よくある質問

Q1. アクセスポイントは、教室に何台必要ですか。

台数と用途によります。面積で決めず、最大同時接続台数から逆算してください。動画教材を一斉に使う前提なら、カタログの最大接続台数より手前で余裕を持たせる設計が安全です。教室が複数あるなら、部屋ごとに分けて負荷を散らす形が基本になります。

Q2. 回線の契約速度を上げれば解決しますか。

多くの場合、それだけでは解決しません。詰まりが教室内の無線側で起きているなら、外の回線を太くしても体感は変わりません。まず、どこで詰まっているのかを切り分けてから判断してください。順番を逆にすると、費用だけかかって症状が残ります。

Q3. 家庭用のWi-Fiルーターを教室で使ってはいけませんか。

小規模なら成り立つこともありますが、一斉利用の教室には向きません。家庭用は同時に多数の端末が継続して通信する前提で作られていないためです。生徒数が増える見込みがあるなら、業務用の機器と、複数台を統一して管理できる仕組みを検討する価値があります。

Q4. 授業中に接続が切れたりつながったりを繰り返します。

複数のアクセスポイントの電波が重なって干渉している可能性があります。出力を最大にしたまま近い距離に並べると、端末が接続先を迷い続けることがあります。設置位置、出力、使用チャンネルの見直しで改善する場合が多いため、実測調査を依頼するのが確実です。

Q5. 生徒の私物スマートフォンは、教室のWi-Fiにつないでよいですか。

方針を先に決めてください。開放すると台数が読めなくなり、授業用の端末に影響します。つなぐなら生徒用とは別の電波にする、そもそも接続させない運用にするなど、線引きを明文化しておくと現場が判断に迷いません。保護者への説明もしやすくなります。

Q6. オフラインで使える教材にすれば、回線は細くてよいですか。

負荷は確実に下がりますが、細くしてよいとは限りません。事前に教材を落とす時間帯には通信が発生しますし、出席管理や成績の同期は常時つながっている前提です。オフライン化は山を削る手段であって、回線を不要にするものではないと考えてください。

Q7. 費用の目安はどのくらいですか。

教室数、同時接続台数、建物の構造、配線工事の要否で大きく変わるため、一律の目安は申し上げにくいところです。ケースによりますが、機器の費用より配線工事の条件で総額が動くことがよくあります。まず教室の条件を書き出したうえで、調査から相談するのが結果的に早道です。


まとめ

教室の通信環境は、性能を競う話ではありません。一斉に動く数十台が、決まった時間に止まらず動けばそれで十分です。だからこそ、面積ではなく同時接続数から逆算するという順番が、いちばんの近道になります。

見るべきは三つ。台数、置き場所と出力、そして通信の向きです。教室で流れるのは主に下り方向ですから、そこに帯域を厚く配分する。上りが要るのは配信や録画を始めるときで、その予定があるなら先に伝えておく。この整理だけで、選ぶべきものはかなり絞れます。

分けることも忘れないでください。生徒用、講師・事務用、保護者や来訪者用。同じ電波にまとめてしまうと、授業の負荷が受付や決済まで巻き込みます。分離は工事を伴わずに実現できる場合もあり、費用の割に効果が大きい打ち手です。

名古屋・愛知のように、駅前の古いビルの一室と郊外の広い教室が混在し、多拠点で展開する塾も多い地域では、教室ごとに一から考えるやり方はいずれ限界が来ます。まずは一教室分の条件を紙に書き出すところからで構いません。あなたの教室で、いちばん混む曜日の同時接続台数は何台ですか。



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