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社内の回線はどれくらいの帯域が必要か?人数と用途から見積もる方法

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社内ネットワークに必要な帯域を、人数と用途から自分で計算できるようになる手順を解説します。

「1Gbpsの回線を契約しているから帯域は足りている」。この考え方は、いまのオフィスではほとんど通用しません。

契約書に書かれた数字は最大値であって、常時出る速度でも、社員全員で分け合える保証値でもないからです。実際に社内で使われている量は、人数と用途の掛け算で決まります。

正直なところ、「うちに何Mbps必要なのか」を数字で答えられる中小企業は多くありません。遅いと言われるたびに回線を上位プランへ乗り換え、それでも改善せず、何が原因だったのか分からないまま次の更新時期を迎える。そんな繰り返しに心当たりがあるなら、この記事は役に立ちます。


この記事のポイント

  • 帯域の見積もりは「人数×用途×同時率」という単純な掛け算から始まります。全員が同時に全部を使うことはないという前提を置き、Web会議・クラウド同期・バックアップ・動画・SaaSのうち、どれが何人分同時に流れるのかを積み上げるだけで、おおよその必要量は見えてきます。
  • クラウド前提の働き方では、下りより上りが先に詰まります。Web会議の映像も、クラウドストレージへのファイル保存も、バックアップの送信も、すべて社内から外へ出ていく通信です。下り1Gbps・上り数百Mbpsといった非対称の回線では、上り側が実質的な上限になるケースがあります。
  • 名古屋・愛知では、駅周辺の中規模ビルに入る本社と、郊外の工場・倉庫や複数店舗を同じネットワークでつないでいる会社が目立ちます。拠点ごとに回線の実力も用途もまるで違うため、本社基準で決めた帯域が支店では過剰、工場では不足という食い違いが起きやすいのが実情です。

この記事の結論

一言で言うと、必要帯域は契約速度ではなく「ピーク時に同時に流れる通信量の合計」で決まります。平均を見ても意味はありません。困るのはいつも一番混んでいる時間帯だからです。

最も重要なのは、上りと下りを分けて見積もることです。クラウドとWeb会議が業務の中心になった時点で、ボトルネックは下りから上りへ移りました。ここを分けずに「◯Gbpsだから大丈夫」と判断すると、まず外れます。

失敗しないためには、机上の計算だけで決めないことです。見積もりはあくまで当たりをつけるためのもの。最後は実測と継続的な監視で確かめ、増員や新しいサービスの導入に合わせて数字を更新していく。この往復ができている会社は、回線トラブルの原因追及にも強くなります。


「回線が遅い」と言われても、何をどう調べればいいのか分からない

まず速度測定サイトを開いてしまう

よくあるのが、苦情を受けた担当者が自席のパソコンで速度測定サイトを開き、「500Mbps出ているので問題ありません」と回答してしまうパターンです。

この測定には二つの弱点があります。ひとつは、測っているのが自席から測定サーバーまでの一瞬の値であって、社内の混雑した時間帯を再現していないこと。もうひとつは、多くの測定が下り中心で、上りの詰まりを見逃しやすいことです。

朝一番の空いている時間に測れば、当然いい数字が出ます。困っているのは午前十時や午後二時なのに、測っているのは八時半。ここがずれていると、いくら測っても実態にたどり着きません。

現場から出てくるのは「速度」ではなく「症状」の言葉

現場は帯域という言葉では話しません。「会議で自分の顔だけカクつく」「大きいファイルを送ると固まる」「午後になるとクラウドの管理画面が開かない」。出てくるのはすべて症状です。

実は、この症状の言葉こそが手がかりになります。会議の映像が乱れるのは上りが細っている合図、大きいファイルの送信で止まるのも上り、逆に社外サイトの表示が全体的に重いなら下りや別の要因を疑う、といった具合に切り分けの入口になるからです。

症状を「いつ・誰が・何をしていたとき」の三点で記録するだけで、原因の候補はかなり絞れます。まず必要なのは高価な測定機器ではなく、症状のメモです。

上に説明できないという、いちばん重いモヤモヤ

ひとり情シスや総務兼任の担当者からは、「原因は薄々分かっているが、上に説明できない」という相談をよく受けます。

回線を増強したいと言えば、必ず「今のままでは何が困るのか」「増やせば直るのか」と聞かれます。ここで数字を出せないと、その場の感覚論になり、結局「もう少し様子を見よう」で終わる。そして半年後、同じ苦情が繰り返されます。

見積もりの手順を持っておく価値は、実はここにあります。技術のためではなく、社内で判断を通すためです。


必要帯域を見積もる三つの基準

基準1:人数×用途×同時率で積み上げる

見積もりの土台は単純な掛け算です。用途ごとに「一人あたりのおおよその消費帯域」を置き、「同時に使う人数」を掛け、それを足していきます。

一人あたりの目安は、一般に次のように整理されます。Web会議の映像は画質や設定によりますが数Mbps程度、音声のみならさらに小さくなります。クラウドストレージの同期や大きめのファイル送信は、設定次第で一時的に数十Mbps単位を使い切ります。SaaSの画面操作やメールは一人あたりで見れば小さく、動画の視聴は画質によって大きく変わります。いずれも製品や設定で幅が出るため、自社の環境で確かめる前提の当たり値として扱ってください。

肝は同時率です。五十人の会社で五十人が同時に会議をすることはまずありません。ケースによりますが、Web会議の同時利用は在席者の二割から四割、繁忙期や全社会議の日はそれ以上、といった具合に自社の実態で置きます。この同時率を高めに置きすぎると過剰投資に、低く置きすぎると毎日詰まる設計になります。

手順にすると四段階です。第一に、社内で使っているサービスを用途別に並べる。第二に、それぞれの一人あたり消費量を仮置きする。第三に、ピーク時に何人が同時に使っているかを見積もる。第四に、掛けて足す。紙一枚で終わる作業ですが、この表があるかないかで、回線の相談も社内説明もまったく別物になります。

数字の置き方に自信がなくても構いません。最初は粗くていいのです。大切なのは、後から実測と突き合わせて仮置きの値を直せる形にしておくこと。一度作った表を毎年更新していけば、自社専用の目安表として精度が上がっていきます。

基準2:上りと下りを分け、上りを主役として見る

家庭向けを含む多くの回線は、下りが太く上りが細い非対称の設計です。かつては社外の情報を「見る」使い方が中心だったため、これで問題ありませんでした。

いまは逆です。Web会議で自分の映像を送るのも、作成した資料をクラウドに保存するのも、夜間バックアップを外部へ送るのも、すべて上り。実は、社内で「遅い」と言われる場面の多くは、下りではなく上りが埋まっています。

そのため見積もりは、下り用と上り用の二本立てで作ってください。用途ごとに上り側の消費量を積み上げると、思っていたより早く上限に届くことが分かるはずです。上りに余裕を持たせられる回線かどうかは、契約前に必ず確認したい点になります。

基準3:平均ではなくピークで設計し、将来の増員を足す

一日の平均使用量で設計すると、必ず足りなくなります。通信は時間帯に偏るからです。

多くのオフィスでは、始業直後のメール受信とクラウド同期、午前と午後の会議枠、月末月初の締め処理、夜間のバックアップ、といった山ができます。この山の高さで設計するのが原則です。加えて、月に数回しかない全社集合やオンライン研修のような特異日を「どこまで面倒を見るか」を決めておくと、判断がぶれません。

さらに、将来の増員と新サービスの分を上乗せします。目安として、向こう二、三年で見込む人数増と、導入予定のクラウドサービスの分を積んでおく。回線や機器の入れ替えには準備期間が必要ですから、いま必要な量ぴったりで契約すると、増員が決まった時点で作り直しになります。

もうひとつ、意図的に山を崩すという発想も持っておいてください。バックアップや大容量のデータ転送は、実行する時間さえずらせば山から外せます。帯域を買い足す前に、時間帯をずらして解決できる通信がないかを洗い出す。これは費用をかけずにできる、いちばん効率のよい対策です。


名古屋の事情と、どこまで自社でやるか

同じ「1Gbps」でも建物によって実力が違う

回線の実力は、契約プランだけで決まりません。建物への引き込み方や共用設備の状況、宅内の配線、そして社内のルーターやスイッチ、無線アクセスポイントの能力がすべて効いてきます。

よくあるのが、回線は上位プランに変えたのに、社内の機器が古いままで頭打ちになっているケースです。出入口の機器が想定する処理量を超えていれば、そこで詰まります。無線経由なら、電波の届き方と同時接続数の影響も受けます。帯域の話をするときは、回線・機器・無線の三点をセットで見るのが基本です。

名古屋・愛知に多い、本社と工場・多拠点の組み合わせ

名古屋市内の中規模オフィスビルに本社を置き、郊外に工場や倉庫、県内外に営業所や店舗を持つ。愛知圏では珍しくない構成です。

この形だと、拠点ごとに必要帯域がまったく違います。本社は会議とクラウド中心で上りが効き、工場は生産系の端末とカメラ、倉庫は在庫システムと動画、店舗は決済とクラウドPOSに来客用Wi-Fiが乗る。さらに、拠点間を結ぶ通信や本社経由でインターネットへ出す構成にしていると、本社の回線に全拠点の通信が集中します。

拠点をまとめて同じ条件で契約している会社ほど、本社で足りず、支店で余っている状態になりがちです。棚卸しの単位は会社全体ではなく拠点ごと。ここを分けるだけで、投資の効率は変わります。

自社でやること、外部に任せること

自社でやるべきなのは、実態の把握です。拠点ごとの人数、主な用途、困っている時間帯、症状の記録、そして向こう数年の増員計画。これらは社外の誰にも分かりません。ここを持たずに相談すると、話が一般論で終わります。

外部に任せたいのは、測定と設計、そして工事です。継続的な帯域の監視、機器や無線の実測、上りを含めた回線の選定、配線や設備の工事。とくに配線や電気に関わる工事は有資格者による施工が必要な範囲があり、自社作業は避けるべき領域です。

境目の目安はこう考えると分かりやすくなります。「事実を集める」までが自社、「原因を特定して直す」からが外部。この線引きができていると、外部に依頼したときの見積もりも精度が上がります。


こういう会社は今すぐ帯域の棚卸しをすべき

  • 過去二、三年で人数が一割以上増えた、または在宅勤務やWeb会議が常態化したのに、回線の契約内容を一度も見直していない
  • ファイルサーバーをクラウドストレージへ移した、もしくはバックアップを外部へ送る運用に変えた(上りの使用量が大きく変わっています)
  • 「午後になると遅い」「会議のときだけ乱れる」といった時間帯や場面が決まった苦情が、月に何度も出ている
  • 本社経由で全拠点のインターネット通信を出しており、拠点や人数が増えている
  • 回線速度を上げたのに体感が変わらなかった経験がある(原因が回線側になかった可能性が高い状態です)
  • 来期に増員・移転・新拠点の予定があり、いま必要な帯域も分からないまま計画を立てようとしている

ひとつでも当てはまるなら、まずは現状の使用量を一週間ほど記録するところから始めてください。棚卸しは、回線を替えるかどうかを決める作業ではありません。替える必要があるのかを判断するための材料を作る作業です。


よくある質問

Q1. 一人あたり何Mbpsあれば足りますか?

用途によって幅が大きく、単一の正解はありません。事務作業とメール中心なら小さく、Web会議が常時入る働き方なら一人あたり数Mbps規模を見込むのが一般的です。まずは自社で一番重い用途を基準に置き、そこに同時率を掛けて積み上げてください。

Q2. 1Gbpsの回線なら百人でも大丈夫ですか?

一概には言えません。契約上の1Gbpsはベストエフォート、つまり「最大でこの速度」という意味で、常時その速度が出る保証ではないからです。加えて上り側の実力や社内機器の処理能力も効きます。人数だけで判断せず、用途の内訳とピーク時間帯で確認してください。

Q3. 上りと下り、どちらを優先して考えるべきですか?

クラウドとWeb会議が中心なら、上りを優先してください。映像の送信、クラウドへの保存、外部へのバックアップはすべて上り方向です。下りに余裕があるのに会議が乱れる場合、上りが埋まっている可能性を最初に疑うのが定石になります。

Q4. 帯域が足りないのか、機器が原因なのか、どう切り分けますか?

時間帯と場所で切り分けます。空いている時間でも遅いなら機器や設定、混む時間だけ遅いなら帯域や同時利用の可能性が高くなります。特定のフロアや無線だけ遅いなら、回線ではなく社内側の問題です。症状を記録して比較するのが最短の道になります。

Q5. 実測はどうやって行えばよいですか?

一時的な速度測定ではなく、一定期間の継続的な記録が必要です。ルーターやスイッチの通信量を時間帯別に記録し、どの時間にどれだけ流れているかを見ます。自社で仕組みを持たない場合は、監視や測定を含めて外部に依頼するのが現実的です。

Q6. バックアップが帯域を圧迫している気がします。

十分にあり得ます。ケースによりますが、バックアップは設定次第で回線を使い切ります。まず実行時間を業務時間外へ移し、それでも終わらないなら転送量の上限設定や差分方式への見直しを検討してください。夜間に寄せると、今度は翌朝の同期と重なる点にも注意が要ります。

Q7. 見積もりはどれくらいの頻度で見直すべきですか?

人数や働き方が変わったタイミングが基本です。増員、移転、新しいクラウドサービスの導入、在宅勤務の制度変更。これらがあれば前提が崩れます。特に動きがない場合でも、年に一度は使用量の推移を確認しておくと、次の更新時期に慌てずに済みます。


まとめ

必要帯域の見積もりは、専門家だけの仕事ではありません。人数、用途、同時率、ピーク時間帯。この四つを自社の実態で埋めるだけで、判断の土台はできあがります。

そのうえで押さえておきたいのが、上りの存在です。クラウドとWeb会議が業務の中心になった以上、社内から外へ出ていく通信量が体感を左右します。下りの数字だけを見て安心する時代は、すでに終わりました。

そして、計算はあくまで当たりをつけるためのものです。実測と継続的な監視で確かめ、増員や新しいサービスに合わせて数字を更新していく。この往復を続けている会社ほど、回線トラブルが起きたときの復旧も、投資の説明も速くなります。

名古屋・愛知のように本社と工場、複数拠点を抱える構成なら、棚卸しの単位は拠点ごと。全社一律の契約を続けているうちは、どこかが足りず、どこかが余ったままです。まず何から手をつけますか?



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