
障害時のダウンタイムを最小化する高可用性ネットワーク設計
【この記事のポイント】
- ネットワーク冗長化は「予備の機器・回線を準備し、障害時に自動切り替えでサービス継続」する仕組み。レイヤー1(物理層・回線二重化)、レイヤー2(STP・リンクアグリゲーション)、レイヤー3(VRRP・HSRP)の3段階で構成
- 冗長構成は「アクティブ・スタンバイ(待機系を準備)」「アクティブ・アクティブ(両系稼働で負荷分散)」の2種類。導入コストは通常構成の1.5〜2倍だが、障害時のダウンタイム(年間数時間→数分)を大幅削減
- コムネットワークでは業務継続要件に応じた最適な冗長構成を提案。回線二重化・VRRP設定・自動切り替えで99.9%以上の可用性を実現
今日のおさらい:要点3つ
- ネットワーク冗長化は「予備の機器・回線を準備し、障害発生時に自動切り替えでサービスを継続」する仕組み。レイヤー1(物理層・回線二重化)、レイヤー2(データリンク層・STP・リンクアグリゲーション)、レイヤー3(ネットワーク層・VRRP・HSRP)の3段階でOSI参照モデルに則り構成
- 冗長構成は「①アクティブ・スタンバイ(主系稼働・待機系は障害時のみ起動)」「②アクティブ・アクティブ(両系稼働・負荷分散と可用性を両立)」の2種類。導入コストは通常構成の1.5〜2倍だが、障害時のダウンタイム(年間数時間→数分)を大幅削減し、事業損失リスクを最小化
- 具体的な冗長化技術は「①回線二重化(メイン回線+バックアップ回線)」「②STP(ループ防止・経路冗長化)」「③VRRP・HSRP(ルーター冗長化)」「④リンクアグリゲーション(帯域拡張+冗長化)」の4つ。コムネットワークでは業務継続要件に応じた最適な冗長構成を提案し、99.9%以上の可用性を実現
この記事の結論
ネットワークを止めないためには、冗長化が必須です。冗長化とは、「予備の機器・回線を準備し、障害発生時に自動切り替えでサービスを継続」する仕組みです。レイヤー1(物理層・回線二重化)、レイヤー2(データリンク層・STP・リンクアグリゲーション)、レイヤー3(ネットワーク層・VRRP・HSRP)の3段階でOSI参照モデルに則り構成します。冗長構成は、「アクティブ・スタンバイ(主系稼働・待機系は障害時のみ起動)」「アクティブ・アクティブ(両系稼働・負荷分散と可用性を両立)」の2種類です。導入コストは通常構成の1.5〜2倍ですが、障害時のダウンタイム(年間数時間→数分)を大幅削減し、事業損失リスクを最小化します。
しかし「冗長化って本当に必要なのか」「コストに見合う効果があるのか」という声も多く、夜中にスマホで何度も「ネットワーク 冗長化 コスト」と検索し、翌朝も答えが見つからないまま溜息をつく担当者が少なくありません。実際、ネットワーク冗長化で最も多い失敗は、「コストを抑えようと片系だけで構成し、障害時に全社停止」「冗長化したのに自動切り替えが機能せず手動復旧」「過剰な冗長化でコストが膨らみすぎ」の3パターンです。
一言で言うと、「業務継続要件に応じた最適な冗長構成を選べば、障害時のダウンタイムを数分に抑え、事業損失リスクを最小化できる」ということです。
ネットワーク冗長化の仕組み3段階
レイヤー1(物理層):回線二重化
物理層の冗長化は、回線を二重化して障害時に自動切り替える仕組みです。例えば、メイン回線は東京のアクセスポイントと、バックアップ回線は大阪のアクセスポイントと接続し、1つのプロバイダで通信経路を分けたフォールトトレランスを構成できます。天災などで大阪のアクセスポイントが障害を受けても、東京のアクセスポイントで通信を継続できる仕組みです。
回線二重化の具体例は以下の通りです。
- NICチーミング:1つの機器に複数のNICを挿入し、2本のLANケーブルを並列接続。帯域幅を2倍に拡張したり、メイン回線の障害時にバックアップ回線に切り替え
- 異なるプロバイダで回線二重化:NTTとKDDIなど異なるプロバイダで回線を二重化し、片方の障害時に自動切り替え
- 異なるアクセスポイントで回線二重化:東京と大阪など地理的に離れたアクセスポイントで回線を二重化し、天災時も通信継続
正直なところ、回線二重化はコストが1.5〜2倍になりますが、通信経路が1つだけだと、トラフィック増加に対応しにくい他、障害発生時にビジネスがストップする恐れがあります。
レイヤー2(データリンク層):STP・リンクアグリゲーション
データリンク層の冗長化は、STP(スパニングツリープロトコル)とリンクアグリゲーションで構成します。STPは、ネットワーク内でループ構成が発生するのを防ぎ、冗長性を確保するためのプロトコルです。
STPとリンクアグリゲーションの違いは以下の通りです。
- STP(スパニングツリープロトコル):ループ状に形成されたネットワークの一角を論理的に切断し、データが繰り返しループしないようにする。障害時に切断していた経路を開放して通信継続
- リンクアグリゲーション:複数のLANケーブルを束ねて1本のケーブルとして扱い、帯域幅を拡張。1本が障害で切れても残りのケーブルで通信継続
実は、ネットワークがループ構成になると、データが無限に循環してしまい、通信障害の原因となります。STPは、ネットワーク内の経路を監視し、ループが発生しないように一部の経路をブロックすることで、この問題を解決する点が特徴です。
レイヤー3(ネットワーク層):VRRP・HSRP
ネットワーク層の冗長化は、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)とHSRP(Hot Standby Router Protocol)で構成します。VRRPとHSRPは、どちらもルーターの冗長化の1種です。
VRRPとHSRPの仕組みは以下の通りです。
- VRRP:ネットワーク上で複数ルーターをまとめて仮想的に1つに見せて運用する方法。1つのルーターで障害が発生しても別のルーターで通信を継続
- HSRP:Cisco独自のプロトコルで、VRRPと同様に複数ルーターを仮想的に1台として運用。Cisco機器間での冗長化に最適
複数のルーターを仮想的に1台とすることで個々の管理を行う負担が減り、さらに1台に障害が起きたときには他のルーターが起動することでネットワークの維持を図ります。
冗長構成の種類2つ
アクティブ・スタンバイ:主系稼働・待機系は障害時のみ起動
アクティブ・スタンバイは、主系(アクティブ)を稼働させ、待機系(スタンバイ)は障害時のみ起動する構成です。主系に障害が発生すると、待機系が自動で起動して処理を引き継ぎます。
アクティブ・スタンバイの特徴は以下の通りです。
- 主系が稼働:通常時は主系のみが稼働し、待機系は停止
- 障害時に自動切り替え:主系に障害が発生すると、待機系が自動で起動
- 切り替え時間:数秒〜数分(設定により異なる)
- コスト:通常構成の1.5〜2倍
よくあるのが、「アクティブ・スタンバイで構成したのに、待機系の電源を切っていて、障害時に起動しなかった」というケース。待機系は常時電源ONで監視状態を維持する必要があります。
アクティブ・アクティブ:両系稼働・負荷分散と可用性を両立
アクティブ・アクティブは、両系を稼働させて負荷分散し、片方に障害が発生しても残りの系で処理を継続する構成です。
アクティブ・アクティブの特徴は以下の通りです。
- 両系が稼働:通常時から両系が稼働し、負荷を分散
- 障害時も継続:片方に障害が発生しても、残りの系で処理を継続
- 切り替え時間:ほぼゼロ(既に稼働している系が処理を引き継ぐ)
- コスト:通常構成の2倍以上(両系を常時稼働)
ケースによりますが、アクティブ・アクティブは両系を常時稼働させるため、電力コストや運用コストが高くなります。ただし、負荷分散と可用性を両立できるため、高可用性が求められる基幹システムで採用されます。
具体的な冗長化技術4つ
技術1:回線二重化(メイン回線+バックアップ回線)
回線二重化は、メイン回線とバックアップ回線の2系統を準備し、メイン回線に障害が発生したときに自動でバックアップ回線に切り替える仕組みです。
回線二重化の具体例は以下の通りです。
- 異なるプロバイダで回線二重化:NTTとKDDIなど異なるプロバイダで回線を二重化
- 異なるアクセスポイントで回線二重化:東京と大阪など地理的に離れたアクセスポイントで回線を二重化
- 異なる通信方式で回線二重化:光回線とLTE回線など異なる通信方式で回線を二重化
技術2:STP(ループ防止・経路冗長化)
STP(スパニングツリープロトコル)は、ループ状に形成されたネットワークの一角を論理的に切断し、データが繰り返しループしないようにするプロトコルです。
STPの仕組みは以下の通りです。
- 通常時:ループが発生しないように一部の経路をブロック
- 障害時:ブロックしていた経路を開放して通信継続
- 切り替え時間:数秒〜数十秒(STPの種類により異なる)
技術3:VRRP・HSRP(ルーター冗長化)
VRRP・HSRPは、複数のルーターを仮想的に1台として運用し、1台に障害が発生しても残りのルーターで通信を継続する技術です。
VRRP・HSRPの仕組みは以下の通りです。
- 通常時:主系ルーターが稼働し、待機系ルーターは監視状態
- 障害時:主系ルーターに障害が発生すると、待機系ルーターが自動で起動
- 切り替え時間:数秒(VRRPの優先度設定により異なる)
技術4:リンクアグリゲーション(帯域拡張+冗長化)
リンクアグリゲーションは、複数のLANケーブルを束ねて1本のケーブルとして扱い、帯域幅を拡張する技術です。1本が障害で切れても残りのケーブルで通信を継続できるため、冗長化にもなります。
リンクアグリゲーションの特徴は以下の通りです。
- 帯域拡張:複数のLANケーブルを束ねて帯域幅を拡張(2本なら2倍)
- 冗長化:1本が障害で切れても残りのケーブルで通信継続
- 負荷分散:複数のケーブルに通信を分散して効率化
よくある失敗と対策
失敗1:コストを抑えようと片系だけで構成
「冗長化はコストがかかるから、片系だけで構成した」というケース。障害が発生すると全社のネットワークが停止し、事業損失が発生します。
対策:業務継続要件を明確化し、ダウンタイムが許容できない基幹システムは必ず冗長化する。
失敗2:冗長化したのに自動切り替えが機能せず
「冗長化したのに、自動切り替えの設定ミスで手動復旧が必要になった」というケース。VRRPの優先度設定やSTPの設定ミスで、自動切り替えが機能しないことがあります。
対策:冗長化構成後は必ず障害試験を実施し、自動切り替えが正常に動作するか確認する。
失敗3:過剰な冗長化でコストが膨らみすぎ
「すべてのネットワーク機器を冗長化したら、コストが3倍になった」というケース。過剰な冗長化はコストが膨らみすぎて、費用対効果が悪化します。
対策:業務継続要件に応じて、基幹システムのみ冗長化し、非基幹システムは単一構成でコストを抑える。
よくある質問
Q1. ネットワーク冗長化とは?
A1. 「予備の機器・回線を準備し、障害発生時に自動切り替えでサービスを継続」する仕組みです。
Q2. 冗長構成の種類は?
A2. 「アクティブ・スタンバイ(主系稼働・待機系は障害時のみ起動)」「アクティブ・アクティブ(両系稼働・負荷分散)」の2種類です。
Q3. 導入コストは?
A3. 通常構成の1.5〜2倍です。アクティブ・アクティブは2倍以上になります。
Q4. 具体的な冗長化技術は?
A4. 「回線二重化」「STP」「VRRP・HSRP」「リンクアグリゲーション」の4つです。
Q5. よくある失敗は?
A5. 「コストを抑えようと片系だけで構成」「自動切り替えが機能せず」「過剰な冗長化でコスト膨張」の3パターンです。
Q6. ダウンタイムはどれくらい削減できる?
A6. 年間数時間→数分に削減できます。冗長化なしの可用性99%(年間ダウンタイム3.6日)→冗長化で99.9%(年間ダウンタイム8.76時間)に改善。
Q7. STPの切り替え時間は?
A7. 数秒〜数十秒です。RSTP(Rapid STP)なら数秒で切り替えできます。
Q8. VRRPとHSRPの違いは?
A8. VRRPは標準プロトコル、HSRPはCisco独自のプロトコルです。
Q9. 回線二重化の注意点は?
A9. 異なるプロバイダ・異なるアクセスポイントで回線を二重化し、単一障害点を排除します。
Q10. コムネットワークのサポート範囲は?
A10. 業務継続要件に応じた最適な冗長構成を提案し、99.9%以上の可用性を実現します。
まとめ
ネットワーク冗長化は「予備の機器・回線を準備し、障害時に自動切り替えでサービスを継続する」仕組みです。OSI参照モデルに則ったレイヤー1(物理層・回線二重化)、レイヤー2(データリンク層・STP・リンクアグリゲーション)、レイヤー3(ネットワーク層・VRRP・HSRP)の3段階で構成するのが基本となります。
冗長構成は2種類あります。アクティブ・スタンバイは主系を稼働させ待機系は障害時のみ起動する構成、アクティブ・アクティブは両系を稼働させて負荷分散と可用性を両立する構成です。導入コストは通常構成の1.5〜2倍ですが、障害時のダウンタイムが年間数時間から数分に大幅削減できます。
具体的な冗長化技術は「回線二重化」「STP」「VRRP・HSRP」「リンクアグリゲーション」の4つ。それぞれ役割が異なるため、業務要件に応じて組み合わせて使うことになります。
よくある失敗は「コストを抑えようと片系だけで構成」「自動切り替えが機能せず」「過剰な冗長化でコスト膨張」の3パターン。やりすぎても足りなくてもコストや事業継続にダメージが出るため、バランスが重要です。
一言で言うと、「業務継続要件に応じた最適な冗長構成を選べば、障害時のダウンタイムを数分に抑え、事業損失リスクを最小化できる」ということ。迷っているならコムネットワークに相談してみてください。業務継続要件に応じた最適な冗長構成を提案します。
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