
「とりあえず全部入り」で失敗しないために|役割と階層から逆算する機器選定の基本
【この記事のポイント】
- ルーター・スイッチ・無線AP・UTMなど、ネットワーク機器ごとの役割と、企業規模別の選定基準が分かる
- 「何台・どの階層・どの帯域・どのセキュリティ」を基準にすれば、機種名に詳しくなくても“外さない”選び方ができる
- 実体験と現場の声から、「よくある買い方の失敗」と「比較のとき必ず見るべき5項目(機能・バージョン・セキュリティ・性能・運用性)」がイメージできる
今日のおさらい:要点3つ
- 一言で言うと、「まずルーター/スイッチ/APの役割と、どの階層で使う機器か」を整理してから、必要機能・ポート数・速度・PoE・管理方式で絞るのが失敗しない順番
- 最も重要なのは、「今+3年後の利用台数」と「どこまで止まっていいか(可用性)」を先に決めて、それに合わせてL2/L3スイッチ・UTM・クラウド管理などを選ぶこと
- 失敗しないためには、「値段だけ」「ブランドだけ」「担当者のイメージだけ」で決めず、少なくとも5つ(機能・バージョン・セキュリティ・性能・運用性)を比較表にしてから最終決定することが大切です
この記事の結論
一言で言うと「ネットワーク機器は、“何台つなぎたいか”ではなく、“どんな役割をどの階層で担わせるか”を決めてから選ぶべき」。
最も重要なのは、「①用途・規模・拡張計画」「②必要機能(VLAN・PoE・VPN・フィルタリングなど)」「③パフォーマンスとポート数」「④セキュリティ・バージョン」「⑤運用・保守体制」という5つの軸で比較すること。
失敗しないためには、「とりあえずハイスペック」ではなく、“小規模ならL2+クラウド管理”“中規模ならVLAN対応スイッチ”“大規模ならL3+階層構成”のように、自社のフェーズに合ったクラスだけを見る癖をつけることが重要です。
ネットワーク機器の基本と「まず決めるべきこと」
ステップ1 ルーター・スイッチ・AP・UTM、それぞれの役割を整理する
NTTコミュニケーションズやOptageの解説では、ネットワーク機器を階層別に整理しています。
ルーター
- 異なるネットワーク同士をつなぐ(社内LANとインターネット、拠点間VPNなど)
スイッチ(L2/L3)
- 同じネットワーク内でパケットを中継する(フロア内のPC・プリンタ・APを接続)
無線アクセスポイント(AP)
- Wi-Fiエリアを作る。台数・設置場所・電波設計が品質を左右する。
UTM/ファイアウォール
- 不正アクセスやマルウェアを防ぎ、通信を監視する。Webフィルタ・IPS/IDSなどをまとめて提供。
NTTは機器選定のポイントとして、
- 必要な機能が搭載されているか
- 最新バージョンか(サポート切れでないか)
- セキュリティ機能が十分か
- 必要十分なパフォーマンスか
- 運用性・保守性が高いか
の5要素を挙げています。
正直なところ、「とりあえず全部入りルーター1台」でなんとかしようとすると、トラブル時に“何が悪いのか”分からなくなります。 実は、「役割ごとに適切な機器を置き、シンプルな構成図を作る」ことが、機器選定の第一歩です。
ステップ2 規模と用途ごとの“機器クラス”を決める
企業向けスイッチの選び方では、会社規模によって「どのレイヤのスイッチを中心に見るべきか」が整理されています。
小規模(〜50ユーザー)
- L2スイッチ+ギガ対応ルーターで十分なことが多い
- 管理しやすいクラウドベース製品が向く
中規模(50〜200ユーザー)
- VLAN機能付きマネージドL2スイッチ
- 必要に応じてL3スイッチで拠点内ルーティング
大規模(200ユーザー〜)
- コア用のL3スイッチ+アクセス用L2/L3
- 階層構造と冗長構成が前提
IT-TRANDの解説も、「中小企業では、ルーター・スイッチ・APのどこがボトルネックかを見て、機器の見直し優先度を決める」のが現実的としています。
現場の声:コムネットワークの場合
コムネットワークのようなSIerは、ヒアリングの段階で次のような会話をします。
「正直なところ、今の社員数と3年後の予定人数を教えてください。」 「実は、今は30台でも、2年後には60台になる予定でして…。」 「よくあるのが、今の台数だけ見てスイッチを選んでしまい、2年後にポート数が足りなくなるパターンです。」
この「今+3年後」を前提にクラスを決めるだけで、買い替え回数や構成のやり直しが大幅に減ります。
ステップ3 「今どこが不満か」で優先順位をつける
IT-TRANDは、中小企業がネットワーク機器を見直すとき、
- Wi-Fiが不安定 → APから
- 有線が遅い → スイッチ/ハブから
- 社外との通信が不安 → ルーター/UTMから
というように、「一番不満が出ている場所」から優先して見直すのが現実的だと説明しています。
実体験1:全部いっぺんに変えようとして詰まった話
以前、20人規模のオフィス移転を手伝ったとき、最初は「ルーターもスイッチもAPも、全部新しくしよう」と盛り上がりました。 ところが、予算も工期もタイトで、最終的に「どこから手を付けるか」で全員フリーズ。
そのとき、ネットワーク担当の方が一言、
「一番文句が出ているのは、昼休みのWi-Fiですよね。」
と言って、まずAPと有線バックボーンの強化を優先する方針に。 結果として、そこだけ先に更新しただけで、体感としての「ネットが遅い」がかなり減りました。
「全部まとめて理想構成」ではなく、「どこから変えると一番ラクになるか」で優先順位をつけることが、現場ではとても重要だと感じた経験です。
用途別ネットワーク機器の選定基準と比較ポイント
① ルーター/UTMの選び方(インターネットと境界部分)
Optageは、ルーター選定の基本として、
- 回線速度よりも速いWANポート
- LAN側の必要ポート数
- 同時セッション数・処理性能
- セキュリティ機能(NAT、VPN、フィルタリングなど)
を挙げています。
Venu-sysの解説では、「自宅ならルーター1台、小規模オフィスならルーター+スイッチの構成が現実的」とし、社員数が10人を超えたらスイッチ併用を推奨しています。
UTMや次世代ファイアウォールを選ぶ際は、
- 同時接続ユーザー数/スループット
- 利用する機能(IPS/IDS、Webフィルタ、アンチウイルス、アプリ制御など)
- ライセンス更新費用(年額/3年)
も含めた総コストを比較する必要があります。
よくある失敗
- VPNやフィルタリングを全部ONにした途端、ルーターのCPUが悲鳴を上げて速度が半分になる
- 将来の拠点追加を考えずに、VPNトンネル数が少ないモデルを選んでしまう
正直なところ、「スペック表の“最大値”」だけを見ると痛い目を見ます。 “UTM機能オン時の実効スループット”と“VPNトンネル数”を確認してから選ぶのが、実運用では必須です。
② スイッチの選び方(L2/L3・ポート数・速度・PoE)
企業向けスイッチ選定ガイドでは、以下のポイントが強調されています。
レイヤ(L2 or L3)
- 小規模(〜200人):L2スイッチで十分なケースが多い
- 大規模・コア層:高性能なL3スイッチ+階層構成
ポート数
- 「今必要な数+3年後の増加分+予備10〜20%」を目安にする
速度
- アクセス:1Gbps
- コア/サーバ接続:10Gbps以上も検討
PoE対応
- IP電話・無線AP・監視カメラなど、PoE給電が必要な機器の数を数えて選ぶ
管理方式
- Web管理/クラウド管理/CLI、SNMP対応など、運用体制に合った管理性
実体験2:ポート数の“ケチり過ぎ”で痛い目を見た話
10人規模のオフィスで、
「8ポートスイッチで足りますよね?」
と相談されたことがあります。 初期台数はPC8台+プリンタ1台。 そのときの私の頭の中には、「予備ポート」「将来のAP・NAS・会議室端末」が完全に抜けていました。
半年後、PC追加・NAS導入・会議室モニタ用端末が増え、スイッチは常にポート満杯。 結局、1年以内に24ポートスイッチに入れ替えになりました。
そのとき、後から来たネットワーク担当の方に、
「最初から“今の二倍くらいまで”見ておくべきでしたね。」
と言われ、ぐうの音も出ませんでした。 スイッチは、「今+3年後の自分へのプレゼント」くらいの感覚でポート数を見積もるのが、今では自分の中のルールです。
③ 無線APの選び方(台数・帯域・管理)
NTT東日本は、ネットワーク構成図の解説で、無線LANの基本として
- カバーしたいエリアと障害物
- 同時接続台数
- 使用するアプリ(ビデオ会議か、メール程度か)
を踏まえてAPを配置すべきとしています。
企業向けAP選定では、特に
- 同時接続台数(1台あたり20〜30台までなど)
- 対応規格(Wi-Fi 5/6)
- 管理方式(スタンドアロン vs コントローラ/クラウド管理)
がポイントとなります。
現場の声:よくあるのが「APを増やせば速くなる」と考えてしまうこと
コムネットワークのような現場だと、
「実は、APの台数を増やしすぎると、電波干渉で逆に遅くなることもあるんです。」
という話をよく聞きます。
AP選定は、“スペック”より“配置と台数”の設計の方が重要で、
- PoEスイッチのポート・電力容量
- チャンネル設計(干渉しないように)
まで含めて考える必要があります。
よくある質問
Q1:中小企業では、どの機器から見直すべきですか?
A1:IT-TRANDは、「不満の大きい箇所から」としています。Wi-FiならAP、有線速度ならスイッチ、外部通信やセキュリティならルーター/UTMから見直すのが効率的です。
Q2:小さい会社でも、最初からL3スイッチを入れた方がいいですか?
A2:企業規模別ガイドでは、中小規模(〜200ユーザー)ならL2スイッチで十分なケースが多く、L3はコア/大規模向けとされています。必要になるまで複雑さは足さない方が無難です。
Q3:ルーターとスイッチ、どちらを優先的に更新すべきですか?
A3:自宅レベルならルーターだけで足りますが、小規模オフィスではスイッチ追加が有効と、Venu-sysは解説しています。ボトルネックがWAN側かLAN側かで優先を決めましょう。
Q4:ポート数は“今の台数+いくつ”くらいを見ておくべきですか?
A4:企業向けガイドでは、「会社規模や3年後の増加も踏まえ、必要ポート数+予備10〜20%」を推奨しています。増設より最初から余裕を持つ方が結果的に安くつくことが多いです。
Q5:ネットワーク機器の“バージョン”は何を見ればいいですか?
A5:NTTは、「最新バージョンか、サポート中のバージョンか」を確認すべきとしています。CiscoでもOSのEOL/EOSに注意し、推奨バージョンを選ぶのがベストプラクティスです。
Q6:セキュリティ機能はどこまで機器に持たせるべきですか?
A6:Optageは「必要な機能を事前に整理すること」を強調しています。UTMで全部入りにするか、ファイアウォール+クラウドサービスを組み合わせるかは、予算と運用体制によって決めるべきです。
Q7:メーカーはCisco一択にすべきですか?
A7:Ciscoは豊富なラインナップとベストプラクティスが強みですが、SMB向けには他メーカーも選択肢があります。重要なのは階層・帯域・サポート体制に合う製品を選ぶことで、ブランドだけで決めるのは危険です。
Q8:ISP(プロバイダー)も機器選定と一緒に見直した方がいいですか?
A8:NTTPCは、同じ回線でもプロバイダーによって速度と安定性が変わると指摘しています。特にクラウド利用が多い場合は、回線・プロバイダー・ルーターをセットで見直すと効果が出やすいです。
まとめ
ネットワーク機器の選定は、「ルーター/スイッチ/AP/UTMの役割」と「会社規模・拠点数・3年後の台数」を基準に、“見るべきクラス”を絞ってから、機能・バージョン・セキュリティ・性能・運用性の5軸で比較するのが、現実的かつ失敗しにくい方法です。
小規模ならL2スイッチ+クラウド管理、中規模ならVLAN対応スイッチ、大規模ならL3+階層構造といった「フェーズに合う構成」を選び、「今だけでなく3年後を見越したポート数と帯域」を確保しておくことで、やり直しコストとトラブルを大きく減らせます。
そして、実際の機器選定で迷ったら、配線工事〜ネットワーク設計〜機器選定〜保守を一気通貫で支援できる会社(コムネットワークのようなSIer)に、構成図と要件を持ち込んで相談することで、スペック表だけでは見えない“現場の落とし穴”を避けやすくなります。
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